ドラマ総括

さて、今クールも連ドラが出揃って、ひと段落しましたね。
前回も書こう書こうと思いながら忙しさに感けて結局最後まで書けずに終わってしまいました。
のでここで、後出しじゃんけん的に少しだけ振り返ります。
半沢とか、WOMANとか、僕が「世界の終わり全肯定時代に小人として生きるメソッド」というSUMMER NUDE論を書くにまで至らしめた小人ドラマの神髄SUMMER NUDEまで意外と話題の多かったクールの後だった前回は、「安堂ロイド」とか「リーガルハイ2」とか事前に話題になっていたというか、国民の関心がドラマに向っていた、ドラマを見ようと思っていた人が多かったチャンスの時だったと思います。
そんな前回ですが、視聴率どうこうとは別に僕が良かった(寧ろこれだけ見とけば大丈夫)と思ったものが、以下の三作品です。
「リーガル・ハイ2」
「クロコーチ」
「変身インタビュアーの憂鬱」

三者三様に良さがあってまとめて少ない分量で書いてしまうのは勿体ないくらいなんですが、1つのクールに外せないドラマが3本もあるというのは豊作と言ってもいいと思います。
実際、今クールはこの基準を当てはめると、魅力的だと思ったのはただ一つです(ほぼ全て一話は見ました後述)

まず「クロコーチ」はここにもよく書いていましたが、論点のすり替えの上手さの魅力が一番です。
表層的にはバットマン的な「悪でもって悪を制す」とか「何が善で何が悪か」という判断をするのは自分自身だ的なテーマで作られていたのですが、物語が進んでいくうちに浮かび上がる「論点のすり替え」の存在感が強くなります。誰もがとは言えないけど、持ってる人は持ってる自分の強み(それは趣味でもいい、ただ相手に有無を言わせないレベルのもの)の側に社会に蔓延る物差しを引き込んで上手くすり替える。すると、意図も簡単に「常識」がその人間の作った「新常識」になる。なるとまではいかないかもしれないけど、それは一時的に人を信仰させる錯覚には十分なほどで、そうやって統制された世論のやそれに付随する何か大きな力に切り込む、その事実を暴く様がとても上手に描かれていました。その結果の鍵というか「仮説として」というテロップを毎回冒頭には出しながらも、確実に「新常識」を作るために実験的に用意されたのが「3億円事件」なんだと思います。なぜ3億円事件は未解決に終ったか、今までの常識を根本的にすり替えて、壁を破ることで発覚する結果を示す。ただ、重要なのは結果でなく、その「すり替え」の過程なんです。今の時代の若い社会人は半沢ではなくクロコーチから論点のすり替えを学んだほうが、今の社会を生きるには有益だと思わせてくれるような作品でした。

次は「リーガルハイ2」ですね。往年のガッキーファン(言うほどでもないか)だけど、これは完全に堺雅人と脚本・古沢良太(岡田将生も褒めたいけどあのニュータイプ感は古沢さんの表現だからなぁ。)の力で視聴者をねじ伏せきってます。かっこいい。
初回が10分間隔とかでCM入ってて、半沢効果どんだけって思ったり、前回とは違う1話完結の背後に一本の背骨となる続きの物語があって、これが1とは違う魅力(岡田くんのようなニュータイプの不気味さ)を上手に出していたと思います。でも結局は最後の2話分の盛り上がりに尽きると思います。以下その2週のリーガルハイ後のツイートを転記します。
【最終回前】
今日のリーガルハイの答弁に於ける台詞はずばり古沢良太の魂の叫びだった。
古美門の「本当の悪魔とは、巨大に膨れ上がった民意だ。」
この言葉がどこに向けられたものかをきちんと汲み取らないといけない。碩学とまではいかなくても、民意を構成する一員として、そこからデタッチメントするためにも。
曲がりなりにもコメディを謳ってるフィクション故、まさか絶対にないだろうと思ったけど(フジテレビの利権の事とかも含めてつまり3の可能性)もしかしたら黛が本当に死んじゃったのかと2秒ぐらい思わせてくれたのは、やっぱりこのドラマがとても秀逸だったという確固たる証だろうな。
【最終回】
リーガルハイ最終回秀逸だった。19世紀のロマン主義的ロシア文学を、21世紀の出処不明な日本の前衛文学が駆逐している光景を見せられてるようだった。
今回はパート1と違って小雪事件という大きな軸があったので、それを巡るクライマックスへの加速と着地(先週今週)がとりわけ見応えがあった。テーマは「民衆(民意)強いてはポピュリズム」と「真実」だったと思う。黛が、例え傷つく人が多くあってもそれが「真実」であるならそれは仕方のない事であると発言するシーンがあったけど、実は、このドラマを通じて争点になっていた小雪事件の真実は明かされてなかったりする。羽生(岡田くん)というニュータイプの最後まで何もかも負け続け無様に映るような青年が、勝ち誇ったような姿勢で去っていくところに、真実を明るみに出したように見せかけ、より大きな何かを上手に隠蔽して終わったような感じを受けた。
その真実を巡る争いの中で、「民衆は愚行ばかり、真実なんてない」そのことを弁護士と検事が高みから見下ろした格好で指摘する。これが時代の最先端をいく正義なんだと思う。そこにはもう「HERO」の影はない。

ま、こんな感じです。古沢さんリーガルハイ→リーガルハイ2だから、早いうちにこれ以外の本を期待してます。

次、「変身インタビュアーの憂鬱」です。これ、ジャニオタでもなかなか見てる人少ないんじゃないかな。主演はKATTUNの中丸くんと木村文乃、監督・三木聡です。最近は映画の方が多いけど、みんな大好き「時効警察」の監督ですね。
これがねホント大当たりでした。内容ざっと説明すると中丸くん演じる作家が小説の100作目のネタを探しにかつて題材になりそうな殺人事件のあった集落でインタビューして回っていて、木村文乃がその担当編集者の役で中丸くんについて回るみたいな。タイトルの変身ってのはその小説家のルックスとか背格好が対外向きじゃないので、それを正すためにイケメンに変身してインタビューするというところからきてます。最初は1話完結の話だと思ったのですが、10話全てを使って一つの大きな真実を暴くような形をとります。
集落自体が奇妙な地の繋がりを有していて、そこに住む人間の隔離されて育った歪さみたいなものが謎にとして焦点、つまり町全体で何か大きな隠し事を共有しているというような話です。最近ツインピークス見てるんで、それに似た側面を感じます。また、阿部和重が山形の神町を舞台に描いた超大作「シンセミア」「ピストルズ」その派生ものの「ニッポニアニッポン」「グランドフィナーレ」などを包括し、今も続いている「神町サーガ」を彷彿とさせるような内容になっています。
三木監督の配役で時効警察の面々も何人か出ていますし、あのシュールな演出もキレわたっています。あと、木村文乃が本当にかわいい。今までどちらかというと否定的な見方をしていたのですが、今回の木村文乃は本当に良かった。年も一緒で誕生日も3日ぐらいしか変わらないからちょっと応援していこうと思いました。木村文乃もそうですが、前クールの主演女優は(可愛さで僕が勝手に判断)間違いなく「ノーコン・キッド」の波瑠ちゃんですね。
と、三作あげましたが、僕の趣味的には「変身インタビュアーの憂鬱」が一番と言っても過言ではないので、みんな一つ見返すなら「変身インタビュアーの憂鬱」を!

やっと今クールの話題に入れると思ったら、もう読んでる人だいぶ少なそうですね。
でも続けます。今クールももう大体どのドラマも2話ぐらいまで消化されています。
取りあえず1話はほぼ見ました。まだ始まったばっかりなんで先を見通した話も出来ないですが、これからも追っていこうと思う作品を今のところで挙げておきます。
「隠蔽捜査」
「失恋ショコラティエ」
「明日、ママがいない」
「医龍4」
「なぞの転校生」
「S -最後の警官-」
それ以外は切っていいなと判断しました。
正直「医龍」はファンなんで個人的に見てますが、その程度だと思います。

「隠蔽捜査」も初回しかまだ見てませんが、とりあえず見続けようと思います。やっぱり杉本・生瀬・古田の三人の濃さは魅力的だと思います。この三人のクセでただの刑事モノからどこまで跳ね返りを見せるかが焦点だと思います。

「失恋ショコラティエ」は7月クールに続きまた小人の話です。1話見たときに松潤の小人ぶりに何年かぶりにテレビに「ウソだろ」と言ってしまったほどです。漫画が原作らしく、読んでる人もいると思いますのでストーリーは割愛しますが、とにかく石原さとみ演じるサエコさんがひどい悪女です。結婚しちゃって、なんかねー。松潤はそのサエコさんをずっと好きでサエコさんがチョコ好きだからショコラティエになって、結婚してるし、なんかねーみたいな、正直呆れて物も言えないような話です。ただね、サエコさん(何度も言いますが既婚者です)の「ごめんね」と「ありがとう」の間で揺れ動いちゃってるソウタくん(松潤ね)が、サエコさんの「ウソかホントか分からないイノセンスさ」がみたいなのが出てきて、そこでだ、これだけは俺分かるぞ分かってしまうんだわマジでこんちくしょう、サエコさんのこのイノセンスさは「ホント」だぞ、ソウタ、マジで、マジレスするとな。
とかそんな小人に感情移入しやすい人にうってつけのドラマです。

「S -最後の警官-」はみんなかっこいいです。向井くん綾野さん筆頭に、それだけじゃないってくらいに大森南朋とか平山浩行とか池内博之とか、しまいには敵役でオダジョーまで出てくる。
女性の方々にこれ見て月曜からまた頑張って働こうね的な機能を果たしていると考えれば、それだけで十分に価値があるドラマだと思います。ほぼ男しか出てこないし、オープニングとかちょっと半沢っぽいんだけど、女性の影を限りなくゼロに抑えることで生じるファンタジー(半沢の時はある種のリアリティだった)に女性が喜ぶというのは面白いというか原点回帰のようでいいなと思います。
2話で東京中に時限爆弾仕掛けられた犯人と対峙したの考えると、最終回とかには巨大隕石地球に衝突ってのを向井くんと綾野さんが数うというスケールまでいってもおかしくない進行速度なので、そこら辺にも期待です。

「明日、ママがいない」は僕の推しであるところの芦田愛菜さんのドラマです。
個人的に一番期待していて、1話でも「愛菜さんっ!!!」ってなってたのに、なんかクレーム来てがっかりです。野島伸司の名前も消えたし多分大まかな軌道修正を余儀なくされてしまうのでしょう。日本社会のフィクションに対するの寛容性の無さは異常だなと思います。もっと「愛菜さんっ!!」って叫びたかったです。

「なぞの転校生」です。抜群です。今クールはこれだけ見れば正直オッケーです。
金曜日の0015テレ東系列です。是非ご覧になって下さい。結果が求められた岩井俊二の底力を感じざるを得ません。
親に教えてもらいましたが、もとはNHK『少年ドラマシリーズ』って枠でやってたらしく、親はその頃のものは良かったと言ってました。僕はその前のは見てないですが、今回のは冒頭2分で岩井さんの雰囲気出まくってて最高です。 手持ちカメラ、学園ドラマ、アンリアル、いいね。ヒロインの桜井美南さんは多分無名の方で、でもその不思議さが岩井さんの淡さとシンクロしててそれも素晴らしい。今回の主演女優は間違いなく桜井美南さんです。元から僕は学園ドラマが凄い好きなんで、深夜の学校とか、音楽室とか、起立礼着席で教室の床をこするように動く椅子の奏でる音とか、紺のブレザーとか。それを手持ちカメラでピアノの伴奏をバックにただただ撮っていく感じ、そのありふれた退屈な日常の岩井的切り取りと、なぞの転校生というSF的な要素をどう混ぜ合わせていくか(2話までではそこがうまくいったこその魅力ってものがまだない分)そんなところに期待です。
冒頭の河原を学校帰りの主人公の二人が歩いているのを岩井さんがこれまたうまく撮ってるんですが、これままさにね

「夕暮れの不覚」

ですよ。是非今クールはこのドラマに注目下さい!

では、今日はこの辺で。

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