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4月ドラマ解説・確定版です。チェック出来た範囲でのものです。

犯罪症候群

WOWOWと東海テレビの共同製作。
妹を殺害されたショックとトラウマから警察を辞め、今は探偵をしている主人公とその主人公に事件の捜査を依頼する警察組織の人間たちを描くクライムサスペンス。
東海テレビで8話、その後WOWOWで4話という日程で放送されます。
ストーリーとしては、主人公のトラウマと警察内部の闇の2つが核になっていくようです。主人公の探偵を玉山鉄二・警察組織の鍵を握る人物を渡部篤郎が演じ見応えはあるのですが、初回で起きた事件が3話にして解決され黒幕のようにもったいぶって描いていた人物があっさり捕まるなど(それによって警察内部の闇という伏線はできるのですが)すべてが完璧かと言われれば微妙です。

4号警備

警察ではなく民間警備会社を舞台に、そこに務める警備員のペアが主人公の一話完結ドラマです。主演のペアを演じるのは窪田正孝と北村一輝。
民間警備会社の身辺警護という部分にスポットを当てた新しさはあるかもしれないですが、こちらの主人公も恋人を目の前で殺害されたトラウマから警察を辞め警備会社へ転職したという設定になっており、「犯罪症候群」と似たような印象を受けます。
民間の警備会社と警察との違いなどをストーリーの中で的確に描写できれば今よりかはポイントがあがるとは思います。

クライシス

こちらは純粋な警察ものです。さらに言えば、公安警察のチームものです。
主演は小栗旬と西島秀俊。脇を固める役者陣もかなり豪華です。
初回から2つの事件をキレよく処理し、その中でチーム内のキャラクターや立ち位置を自然に説明してしまうといったように随所に技量の高さがうかがえました。
また、小栗と西島の体を張ったアクションも見どころと言っていいでしょう。
警察とジャーナリズム・宗教などが今後の大きなテーマとなっていくようで、ほのめかされている主人公たちの過去の出来事を含めながらのストーリーに注目です。

リバース

お得意の湊かなえ原作のミステリーをTBSがいつも枠といつものスタッフで制作。タイトルがリバースだけあって時系列の行ったり来たりが重要になるのですが、初回に関しては見せ方が少し雑かなと思う部分もありました。ただ、物語が進んでいくうちにこのような展開にも必然性が生まれるでしょうし、安定して楽しめる一本です。
既に起こった友人の死をベースに物語を進めていくという構造なので、それをいかに面白く見せていくのかのだと思います。現代と当時の回想を織り交ぜ、主演の藤原竜也の視点という武器を使いあっと驚く展開と結末が用意できれば必然的に及第点となるでしょう。湊かなえ作品には珍しい、異性交流の少ない男だけの物語という部分に注目するのも面白いかもしれません。

100万円の女たち

NETFLIXとテレ東の共同製作の異色の作品です。
RADWIMPSの野田洋次郎が主人公の男を演じ、彼と生活を共にする謎の女5人との日常が描かれます。女たちは共同生活にあたり毎月100万円を家賃として支払うという設定や、主人公の父親が3人を殺した死刑囚であるなど一見すると滅茶苦茶に思えるのですが、設定のわりに穏やかな共同生活の描写もあり、この絶妙な抑止力による物語の宙ぶらりんな感じと緊迫感は魅力といっていいと思います。
どちらに転ぶかは分かりませんが、傑作になる可能性も十分秘めていると思います。

母になる

去年ベスト1ドラマに選んだ「早子先生…」を書いた水橋文美江脚本の作品です。
冒頭『シンギュラリティにおける次世代の家族の在り方について君はどう思いますか』という架空の本が、主人公である夫婦の出会いのきっかけとして使われていて、シンギュラリティ・家族・不気味なもの、というキーワードに東浩紀の『観光客の哲学』を想起せざるを得ませんでした。
3歳で行方不明になった子供と9年後に再会するという「家族」のあり方を問う重いテーマのドラマなのですが、空白の9年間を巡るミステリー要素・家族や親とは何かを描くヒューマンドラマ要素・所々でみられるクスッと笑えるのコメディ要素など、水橋脚本ならではの捉えどころのなさが不気味に際立っています。
初回を見ながら母を演じる沢尻エリカの演技の素晴らしさを実感しました。父を演じる藤木直人の憔悴しきった表情や眼窩・泣きの演技も素晴らしいのですが、脚本のメッセージを理解し言葉を丁寧に形にしていくという事に関しての沢尻の技量の高さは目を見張るものがあります。今後の展開も読みにくく、目が離せません。

貴族探偵

出演陣がとても豪華、ただそれだけのドラマでした。
物語としても毎回起こる事件を解決していくオーソドックスな一話完結ものになるのでしょう。特に目新しいことを期待できそうになく、初回で見切りをつけるのが得策かと思います。

あなたのことはそれほど

ジャンルとしては不倫もので、不倫関係になる男女それぞれの夫婦が物語の中心になります。初回を見て面白いと思ったのが、必要最低限の動機すら描かれなかったり説明を省き焦点をぼやかしたまま話を進めるという強引さや詰めの甘さです。それが根拠や筋を求めない今の時代の視聴者の快感を刺激したいという狙いに感じなくもないのです。いつまでも運命や初恋を信じているイノセンスな女性像を描くことで背徳感なしに不倫を成立させたり、家事も手伝う優しい男性像を描きながら躊躇いもせず妻の携帯を見る狂気ぶりを成立させたりと、実はかなり危険で歪な人たちのドラマであるにも関わらずそこに動機や根拠を挟まず当たり前のように展開させていく気持ちの悪さ・チグハグさが斬新でした。欲望が欲求のように描かれる世界で登場人物たちはどう壊れていくか、一見の価値はあるかもしれません。

女囚セブン

脚本・西荻弓絵で剛力彩芽主演の深夜枠ということもあり大いに期待していたのですが、期待を上回ることはありませんでした。監獄ものということで作り込まれた独特の世界観で物語が進んでいくのかと思いきや、内部の囚人との衝突・和解を一話に一人という形で描いていくような作りになるようです。最後にはみんなで力を合わせて脱獄という運びになるのでしょうか。初回、もう少し工夫があっても良かった気がします。

ボク、運命の人です。

亀梨くんと山Pが再びタッグでドラマに出ることの意味、これが全てです。
この二人と言えば「野ブタ…」なのですが、あれから10年の月日を経た今、彼らの奮闘する姿が再び見れることが何より楽しいです。亀梨くんの律儀なサラリーマン姿、山Pの神としての振る舞い、ヒロイン木村文乃演じる30歳手前の等身大の女性像など、どれもがどこかで見たり知ったりしている懐かしさにつながっている感覚を味わえます。
この手の物語にありがちな過去を書き換えることで運命を手に入れるのではなく、今できる事を継続して運命を創っていくということ、そしてそれを支える過去の伏線たちも上手く描けていると思います。作品から感じる“あの頃”を思い出しながら、今こうやって楽しくこのドラマを見れる幸せを味わいましょう。

小さな巨人

半沢直樹チームが手掛ける刑事ものです。従来の刑事ものと違い単純に事件を解決していくというよりは、所轄と本庁の対立や一課と二課という警察内部の確執に多くの分量が割かれています。台詞の言い回しや執拗な顔のアップなど半沢で見られた独特の演出が際立つのですが、それに負けず劣らずストーリーや設定がしっかりしています。
事件を解き明かすというストーリーと人物の内面描写や何くそ根性・一発逆転の清々しさなど、好意的に見れる質の高さがあります。主演の長谷川博己の眉を上げる胡散臭い表情や香川照之のくどさ、これまであまり印象にない岡田将生の切れ者キャラなど、きちんと計算が行き届いてこその出来だと思います。今後も大いに期待しています。

人は見た目が100パーセント

1月クール「タラレバ娘」が個人的にダメでした。それには明確な理由があり、彼女たちの頭の中の大半が“恋愛”だったということです。職業も家族の話も出てきますが、結局すべて恋愛の話題に絡めとられしまう。別に“恋愛”がダメと言っている訳では無いです。“恋愛”の判断基準や楽しみ方が個人の感覚にのみ因っているということに当人が無自覚になっていることに受け手としてしらけてしまいました。
これまでも複数人の女性がうだうだ話すようなドラマは数多くありました。ただ年齢がもう少し上で、年を重ねることでの浮き沈みという人生経験が投影された上での恋愛事情という描かれ方がされていたと思います。一方「タラレバ」は、恋愛からしか得られない中途半端な感覚を当てに同じようなシーンが何度も繰り返し続いているように感じてしまいました。これはイメージやノリを至上とした「ポスト真実」的な世界観を体現していたと言えるのかもしれません。
話が逸れましたが、「人は見た目が…」のどこが良かったか。
ここ数年のトレンドである“タグ化画面”のきらびやかさというフォーマットを踏まえつつ、冒頭の台詞にあった「この世は根拠なんかどうでもよくイメージが全てだ」という「ポスト真実」世界に言及しています。この台詞こそが昨今のドラマをメタ視点から批評しているという証明になります。登場人物としては「タラレバ」の3人より女子力やセンスが劣っているのですが、そこを自覚しているという部分にこの作品の強みがあると思います。その立場を自覚して彼女たちが「ポスト真実」的世界にどう一石を投じるか。妥協や媚びではなく、根拠を求め試行錯誤(研究)しながら生き抜く姿が描かれることを大いに期待しています。

現段階のベスト3は「小さな巨人」「人は見た目が…」「母になる」ですかね。
「ツバキ文具店」「この世にたやすい仕事はない」「フランケンシュタインの恋」については追って言及できればと思います。

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