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『LION/ライオン ~25年目のただいま~』を観てきた。

久しぶりの映画だった。緊張感持って見たせいか、いつも映画を見ている際に眠くなってしまう時間があるのだけれど、今回は眠くならなかった。

映画は、低予算かつ監督は初の長編作品とは思えない出来だった。
印象的だったのは撮影だ。物語を劇的なものにしたGoogleアースに倣った空撮、インドとオーストラリアの自然の力強さ、ジルーの幼少期など、写真を見ているようだった。

写真集を想起される過剰なまでのカット割りもドキュメントという意識があってのことだろう。
発展途上国の貧しい子どもの写真というのはメッセージ性が強く教育的で、ただ本作はUNICEFがエンドクレジットに流れることからも、単なる感動譚に嵌め込まないという監督の意図があったと思う。

一方で、そのドキュメンタリー要素と対をなす物語的な起伏が少し弱かったのは残念。
迷子から養子としてオーストラリアに行くまてで全体の半分。ここをしっかり描くことで再会がドラマチックになるのは確かなのだけど、テーブルマナーのシーンなどは要るのだろうか。
恐らく原作で監督が気に入ったシーンなんだろうけれども。

また、この点も原作に忠実なんだろうけれど、養子同士の兄弟の確執や両親の葛藤、それらは全てもっとサルー目線で描かれていて欲しかった。
全体のドキュメンタリー性が妙な中立感を生んでしまっていたように思う。
物語としての一番は故郷を失いながらも不自由なく生きているサルーの負い目と孤独だろうから。

大人になっても家族と故郷の陰影が離れない苦悩の中で生きるサルーを演じたデヴパテルとそれを支えるルーニーマーラが名演だったので(ニコールキッドマンも勿論凄いけれど)、もっとここを活かし感動的過ぎるくらいのドラマチックな展開は望めたかと。とはいえ、それを監督は選択しなかったのだろう。

舞台のひとつがインドという事もあって東洋的な廻り合わせや抽象さが物語の劇的さを抑制していたというのも狙いだろう。
25年ぶりに再開しても、「まあ会えたのありがとう」合掌のような展開。
時々かかる東洋的な音楽も演出的に物語を軽くしていたりと、結果的には良いバランスになっていたのかもしれない。

それでも最後は亡き兄の面影と共に故郷の線路を歩いてという、とても感動的な場面に。
あれは正直スタンドバイミー以来の映画における印象的な線路シーンだと思う。
そこからさらに畳み掛けて、最後の「LION」。
シンプルで控え目なタイトルバックに大きな物語を投影させた感動的なエンディングだった。

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