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直木賞の佐藤正午さんの接待受賞(されてしかるべき)と比べて、沼田さんの芥川賞受賞は意外だった。

芥川賞には「あの作品で取るべきだった」とか「この作品にあげちゃうか」という喧喧諤諤がつきもので、作家たちはいつまでもそれを僻んだりネタにしたりし続ける。

沼田さんの『影裏』は(デビュー作ということもあり)「あの作品で取るべきだった」と言われる作品で受賞を遂げた極めて稀な例だといえる。

読んだ後のメモはこんな感じだった。

文学界新人賞受賞作。短い作品。
岩手の自然の滑らかさや釣りの俗気ない描写ですらすらと読ませてしまうのだが、途中で一回・最後にもう一回、誤って飲み込んでしまうと窒息しかける異物が紛れている。描かないことで浮かびあがってくる輪郭のみに対峙している不確かが不気味であるも逃れられない。震災との距離も考え抜かれており、筆者の並々ならぬ才能を感じた。

欲を言えば、今村夏子さん『星の子』の同時受賞を見たかった。
これも現代における本当の怖さに肉薄したエキセントリックな作品だったから。

第157回芥川賞は沼田真佑さんに決定!(平成29年上半期)|公益財団法人日本文学振興会
第157回直木賞は佐藤正午さんに決定!(平成29年上半期)|公益財団法人日本文学振興会

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