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ポール・バーホーベン監督の映画『エル ELLE』を観た。
フィリップ・ディジャンによる小説『Oh…』を原作としたエロティック・サスペンス。

登場人物が多く、主人公の一見予測不能な言動から多少混乱するようなところのあるストーリーだったけれども、よく考えるととてもシンプルなメッセージ性のある映画だった。
それは最初と最後のシーンを見れば明確だ。
映画の開始1秒で死亡フラグが立つ主人公が、最後のシーンで墓参りをしている。
物語の中で起こる事件がシンプルに描写されていくということもあるが、この映画に関しては動機の深読みや裏付けは必要なかったと思う。
起こることを淡々と整理していく処理能力と結果だけ分かれば十分に楽しめる。

これは主人公の主義ともシンクロする。
彼女は徹底的に恥を恐れず、そして不感症。

ストーリー的には女性の話なんだけれども、今の時代この2つの能力は生きる上でのマストなスキルと言えつつもあり、強く生きたいと思う万人に当てはまるものではないか。
主人公は、その能力を体得することで、自分を苦しめ続けた関連のある人物を名実ともに抹殺することに成功する。

一方で、この能力が自然に備わっている人間はある種のサイコパスであり、この映画でも主人公はどこかのタイミングでたかが外れてしまった。その瞬間はどこにあったのか。

『ゴーンガール』的な復讐心メラメラな女性の物語ではなく、諦念からの達観した女性の物語。

最初の事件の後の冷静さ(後片付けと知人への打ち明け)には違和感があるんだけれども、両親がいなくなった以降に主人公の心境の変化はあったのだろう。
思い出さないように感情を殺していたところから、本当に不感症になったことを確認し試行するように。
もし、常人では理解できないような行動がなかったら、主人公が車で事故した後の応急処置のシーンなんかは真っ当に官能的で美しく映っただろう。

時系列に漏れなく日々の出来事が描写されてるからこそ、気持ちが悪いという感覚は新鮮だ。

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