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思わぬ発見はいつだって嬉しい。
興味のなかった作品にふとしたきっかけで触れて、予想もしていなかった楽しい時間を過ごせると、すごく得した気分になる。
これはそういう映画だった。
よくあるオリジナルの邦画アニメとスルーしてしまわなくて本当に良かった。

このお話の中で起こる「奇蹟」は、人の言霊が見えるとか、願いが叶うといったことよりも、毎日古い喫茶店に集まってラジオを放送したりお喋りをしたりする時間の中にあると思った。
そんな幸せな時間をさりげなく描いていて、とても好感が持てた。

主人公が何度も口にする「言霊」。
言葉には力があるというテーマが、どの程度成功していたのかはわからないが、ミニFMのラジオ放送という言葉を届け続ける時間の中で、言うべきだったのに言わずにいたこと、言うべきでなかったのに言ってしまったこと、そういう蟠っていた言葉が解きほぐされていく。

ドラマを支える事件は特別目新しくはないが、そこから枝を伸ばした人物や出来事のあれこれと、その絡み方が面白い。
大上段に構えていない、ある種他愛ないことにとどまっていることが、かえって作中で流れる時間の幸福感を際立たせている。
独特な絵柄も良い。

紫音(と彼女の母親)にラジオで歌を届けるクライマックスは、街の人達を巻き込みながらも決して事件とか活劇といった形にしていない。
商店街にチラシを配ったり、電気屋のオヤジにミニFMの機材を設置してもらったり、かつて存在した地域のコミュニティとつながっていく形にしているのがとても良い。

それは、紫音の母親が喫茶店で歌っていた歌が主人公たちの手で、当時の客たちを介して、本人の元に帰っていくってことだったのか。
だから思いが届いた。

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