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『恋妻家宮本』を観る。
ずっと映画を撮りたいと公言していた遊川さんの作品だったから期待していたんだけど映画館には観に行けなかったのでDVDで鑑賞。
良かった。てっきりオリジナル脚本だと思っていたら原作は重松清の「ファミレス」という作品で、ただ調べてみると原作と設定が変わっている部分もある。

遊川さんの映画に対する真摯さが伝わってくる王道の展開や場面が満載で、そのオーソドックスなつくりの中で、脚本家としての人間を描く力が存分に発揮されていた。
プロットよりも台詞に重きを置いた本作はとてもテレビドラマ的なんだけど、それが映画に置き換えられると証明した遊川映画の誕生だと思う

遊川さんといったらバックグラウンドありきのキャラ設定と建前抜きの鋭い本音がひとつの特徴のだけど、本作は子の手が離れ再び二人での生活がスタートしたありきたりなアラフィフ夫婦の話。
夫婦関係の再確認を起点に、周囲の人々の問題を絡めつつ最後には冒頭と同じファミレスのシーンに戻っていく。

たった2時間のこの一周で27年間の夫婦生活の意味やパートナーの存在意義を過不足なく物語として成立させちゃうんだからすごい。
ひとつ具体的な内容に言及すると、重要な台詞として出てくる「正しさ」と「優しさ」というのは息子の「正」と「優一」の選択のから夫婦に課せられていて、作品内では妻が「正」とつけたとなっているが、そこにはこれまた作品で言及されている夫の優柔不断さが絡んでいて、当時はそこにコンセンサスがあったか分からないしそれが良い選択だったかなんてのも分からない。

ただ、重要なのは27年経った今「正しさ」よりも「優しさ」だと気づいたこと、夫が自らそれを選択し、妻へ合意形成を取ろうとしたこと。
些細ではあるんだけど人と人が一緒に生きていく上で意外と外せないことを設定やストーリーを壊すことなくサラッと描いてしまう遊川さんらしさに感動した。遊川映画、遊川ドラマと同じくしてこれからも楽しみです。

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