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このお話は欠けたところから始まっている。
主人公のローガン兄弟の兄ジミー(チャニング・テイタム)は工事現場で働いていたが、膝のケガを理由に解雇されてしまう。
一人娘も別れた妻の新しい家族と暮らしている。
彼の弟クライド(アダム・ドライバー)戦地で片腕を失い、今はバーテンダーをやっている。
ローガン一家は不運の家系だというのがクライドの口癖になっている。

仕事をクビになり、娘のコンテストの日にちも間違えてしまう、悪いこと続きのジミー。
弟の店で飲んでいるといけ好かない経営者と喧嘩になる。
騒ぎの中、彼は弟に「カリフラワー」と告げる。これは強盗計画決行の合言葉だった。

ジミーの家には彼が考えた強盗計画10か条が貼ってある。
弟は言う、もうこんなことからは足を洗いたい、でも兄が苦手な知恵を絞ってこの計画を立てたのはわかるし、朝食を作ってくれた、自分好みの焼き加減にしてくれた、だから話は聞くよ、と。ここの場面が好きだ(そしてジミーの焼いたベーコンが美味しそうだ)。優しくて、なんというか「キュート」な、この映画の性格が現れているようだ。

ここから、今は服役中の爆破のプロであるジョー(ダニエル・クレイグ)や彼のバカ兄弟とチームを組み、現金強奪作戦が始まる。
ジミーとクライドとメリー、そしてジョーと彼のバカ弟2人。2組の3兄弟で構成されたチームというのが面白い。
皆家族のため、誰かのために何かをやろうとしている。とんでもなく頭の悪い登場をしたジョーの弟たちだって、彼らなりの「倫理」がないと動かない。たとえジミーとクライドの「エロい妹の復讐」でも。

この映画は「家族」と「お仕事」の話だ。そして、なんというか、一見何もなかったように元に戻るけど、何かが少し違っている、少しだけ、良いものを手に入れている、そういう話でもある。
彼らの計画は成功するが、手に入れた金を「ほぼ」全額返してしまう。
脱獄していたジョーとクライドは、何事もなかったように刑務所に戻る。なにも変わらないじゃないか、そんなことはない。彼らが手に入れたものを種明かししていくラストが心憎い。

冒頭でジミーが娘に語って聞かせる『Take Me Home, Country Roads (故郷へ帰りたい)』にまつわるエピソード、指を骨折して演奏ができないジョン・デンバーが贈られて、感激して朝まで歌っていたというこの曲のように、何かを失った人達に向けたささやかな贈り物なのだ。この「犯罪のプロ集団」とは程遠い素人たちがやってのけた事件は。

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