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読書週間は過ぎてしまったが、読書好きにおすすめする10冊の本を紹介。

紅葉の季節でもあり、クリスマスの季節が近づいている現在、街や公園には人が溢れています。
しかし、充実した生活とはなんだろうか。

この秋冬インドア派におすすめしたい10冊の本を紹介。

『トリストラム・シャンディ』(ロレンス・スターン/岩波文庫)

語り手が自分の一代記を語ると言いながら出生にすら辿り着かずに終わる小説。本文の九割以上が関係ない話をしている。いきなり自作解説を始めたり、真っ黒なページやまだら模様のページが次々挟まれたり、粗筋を線で表現したり。

『エンジン・サマー』(ジョン・クロウリー/扶桑社海外文庫)

文明崩壊後の地球を叙情的かつ象徴的な文体で描くボーイミーツガール。この作品そのものが物語を語る物語であり、メタフィクションという形式でしか表せない恐怖と悲しみと切なさがある。物語と語り手は絶望的に隔てられている。

『ロクス・ソルス』(レーモン・ルーセル/平凡社ライブラリー)

マッドサイエンティストが自分の発明品を見せびらかすだけの幸福な小説。手品をやるそばから種明かししていくような話なのに、それがひたすら愉しい。馬鹿丁寧さが非現実を現実に変えていく。

『黒い時計の旅』(スティーヴ・エリクソン/白水Uブックス)

ここにはすべてがある、と思わせる作品は貴重だ。一人の人間の愛と憎悪が一つの世紀をまるごと飲み込む。「読むこと」と「書くこと」が歴史を切り裂いてもう一つの宇宙を生み出す。情念と知性が奇跡的に調和した小説。

『重力の虹』(トマス・ピンチョン/新潮社)

わからなくても、読めなくても問題ない。この小説を体験するのは言葉の通じない国で迷子になるようなもの。読み解くカギが多すぎるせいでかえって読解困難になり、読者は「パラノイア」に陥らざるを得ない。その混乱が不思議な熱を生む。

『魔女の子供はやってこない』 (矢部 嵩/角川ホラー文庫)

スプラッターなジュブナイル&魔法少女。全編異化と言わんばかりに俗語と堅い紋切り型の入り乱れる文体。悪趣味を通り越して馬鹿馬鹿しいグロを連発しながら、意味のわからないタイミングですごくまともなことを言う。刺さる人には泣く程刺さる

『影を踏まれた女』(岡本綺堂/光文社文庫)

端正な語り口と不可解さが魅力の怪談集。怪異と因縁が繋がらない。何かが欠けていたり、何かが余計だったり。語り終えても暗闇は暗闇のままそこに残される。

『阿房列車』(内田百閒/新潮文庫ほか)

どうでもいいことを言い、曖昧な返事をし、なんとなく会話が途切れる。グダグダであることをこれだけ愉快に書いた文章をほかに知らない。

『クラゲの海に浮かぶ舟』(北野勇作/徳間デュアル文庫)

これも物語が語る物語。おかしくて、かなしくて、ぶよぶよしている。怪獣(映画)の夢も詰まっている。

『奇々耳草紙 呪詛』(我妻俊樹/竹書房文庫)

我妻俊樹の作品は実話怪談というジャンルからはみ出た変な話ばかりなのだけど、この本に収められている『歯医者へ』は特に凄い。読んでいるこちら側の現実すらぐらつかせる。これが恐怖だとして一体何の恐怖なんだろうと戸惑う。

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