ドラマ『トドメの接吻』最終回。
最高だった。僕はいずみ吉紘の描く表の世界からこぼれ落ちた人間たちのドラマが大好きで、本作はその作品群のなかでも1.2を争う大傑作だったと思う。オリジナル脚本というところも素晴らしい。
タイムリープの仕組の解明、主人公・旺太郎の目的、実は戻っていた、戻れないなど設定を数多く用意し、しかもそれがあくまでテーマを面白く描くための手段に過ぎないことに一貫する潔さ。
本作のテーマは紛れもなく「愛」
愛する事の無意味さが身に沁みついてしまった旺太郎に愛はみえるのか。
大金を手にするためタイムリープ能力を持つ相手の弱みに付け込みキスの契約を結び都合よくキスをして過去を書き換える。その愛など見向きもしない旺太郎が最後に選んだのは、大金でもキスの能力でもなくキスの相手・宰子の幸せだった。
過去に戻った宰子には旺太郎との記憶がない。その宰子に自分ような人間にはその能力を絶対に利用されるなと忠告しその場を去ってしまう。結果として彼の中に生まれた初めての愛という感情は未達に終わる。彼はその後、かつてと変わらず軽薄に生きていくかのようなシーンで物語は幕を閉じる。
「過去は変えられない」「過去を変えるべきではない」
初回と最終回で表向きには旺太郎は何も変わってないかのように見える。しかし彼の中には過去には存在しえなかった愛情とそれを信じる心が宿っており、その軽薄さは過去とは全く異なるものになっていたと思う。
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