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映画『心と体と』を観る。

映画『心と体と』を観る。 Posted on 2018年4月30日Leave a comment

『心と体と』
孤独に生きる女と人生を諦めた男。
二人を結びつけたのは鹿の夢。幻想と現実が交錯する愛の物語。
<STORY>
ハンガリー、ブダペスト郊外の食肉処理場。代理職員として働くマーリアはコミュニケーションが苦手で職場になじめない。
片手が不自由な上司のエンドレは彼女を気に掛けるが、うまく噛み合わず…。
そんな不器用な二人が急接近するきっかけは「同じ夢を見た」ことだった。
恋からはほど遠い孤独な男女の少し不思議で刺激的なラブストーリー。

映画『心と体と』を観た。
今年の暫定トップ5に入るくらい心が動かされた。
この映画は実は幾つもの対比から出来ていて、まず一番分かりやすいのが夢と現実。
それから、気配や空気という観念的なものと生々しいまでの現実。
撮影も人の視点で捉えた手持ちの映像と固定で無機的な映像。後は赤と白の色など。

全ての要素が観念と現実で大別されていて、最後にそれが不穏な空気と共に重なりあってしまう。
この一貫した構造だけでも素晴らしいのに、冒頭のシーンのマーリアが日向に出たつま先だけを陰に向かって引くシーンや男女のシーンでの目線の追い方や切り方を繊細に捉えるシーンなど美しくて仕方なかった。

本作は恋愛映画なんだけど、恋愛の特に “奥ゆかしさ”が随所に詰まっている。
マーリアの不器用さとエンドレの弱さや狡さが幾つもの恋の気配を醸造しては消しという繰り返す。
ラスト近くのバスタブのシーンは正直目を背けたくなるような痛々しさで、しかしそれが最高の美しさを湛えてしまっている。

冷静に考えるとエンドレはカウンセラーの胸をガン見した後に悪びれる様子もなく平謝りしたり、無実の部下を勝手なイメージで悪人と決めつけたり、同僚との関係をあっさり切ったり、自身の恋に保険を掛けまくったり、体の関係を求めた女をすぐ帰らせようとしたりと、かなりのグズ野郎。

にも関わらすこの恋が美しいのは、ひとえにマーリアの純真さと二人が同じ夢を共有していたという神秘的なシチュエーションがあったから。
そして、神秘的な人間と現実的な人間が「現実側」で交わってしまったラストが不穏な空気で描かれたことこそが監督の真に伝えたかったことなのだろう。

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