Posted in 散文 映画&テレビ

2018年4月期 ドラマ評(概観)

2018年4月期 ドラマ評(概観) Posted on 2018年4月30日Leave a comment

4月期ドラマも半分ほどが初回を迎えたのでざっと総評。
全体的に少し低調のような気がしてしまうが、期待したい。

『コンフィデンスマンJP』

連ドラは3年ぶりの古沢良太の脚本。昨今恐らく誰も引き受けたがらない月9枠は、前作『デート』と同枠。
古沢は前作からの3年の間に映画の脚本を何本か書いていて、その影響が色濃く出ている。

ただ、古沢の特徴であるキャラ造形や膨大な台詞量に魅力を感じる一方、特に連ドラで描くべき作品なのかという疑問が残る。制作陣から取り敢えず何でもいいので月9で書いて下さいと丸投げされ、それをこなしているように感じてしまう。

第2話を通して
初回の暴走する展開にがっかりしたが、今回は良かった。
初回では昨今の映画での古沢脚本との近接性を感じたが、2話でようやく『リーガル・ハイ』のリブートをおこなうという狙いに気づいた。
『リーガル・ハイ』は12年と13年の連ドラなので、あれから5年か。

『リーガル・ハイ』は悪人や悪事に対して、人間的には変態ではあるものの司法という公的な武器で対峙する辛うじて「正義」が存在する物語だった。一方、本作の主人公は詐欺師。つまり「法律」や「正義」が悪に対する武器として機能しなくなり、それに代替されるのが詐欺師が武器に使う「感情」。

本質的で真っ向から正論をかまし敵を論破する古御門と、“らしさ”や“空気”を演出し敵の感情に付け込みぎゃふんと言わせる本作の3人。時代観がしっかり反映されている。それに加えて、後ろめたさから任務を完遂できないボクちゃんの感情に流されるキャラクター造形や、今回の吉瀬美智子演じるヒール役のワンマンで新しい事を目論む人間に対する日本的な寛容のなさへの皮肉など、物語の軽いタッチとは裏腹にしっかりと描くべき現代的なテーマが見てとれた。これが続いていくとは限らないが、2話でだけみれば古沢脚本の良さが十分伝わる内容だった。

『正義のセ』

個人的に『タラレバ娘』がなぜあれだけ評価されたかイマイチ理解できない身としては、同じ制作陣と主演の吉高由里子での本作に魅力を感じない。1話を見た限りではお仕事ものとしての話の筋や画面の装飾などの演出も中途半端。あと、職場に女性が主人公の吉高一人なのはどうかと思う。

『あなたには帰る家がある』

これも良くある頑張れお母さんもので、そこに不倫とサイコパスキャラを入れアクセントにしましたというお世辞にも褒められない設定。最終的に中谷美紀が理想とする家族が再生されれば良いのだろうか。テーマが散漫になってしまっていてメッセージが伝わりにくい。

『Missデビル』

平穏な世界にノイズを差し込み価値観に根本から揺さぶりをかけるというのはまさに遊川和彦の手法で、その二番煎じのような作品。過去の成功体験から視聴者を繋ぎ止めるフックとしてこのような設定を利用するのは悪くないが、毎度同じような展開で続けていては最後まで持たないだろう。

『いつまでも白い羽根』

大きく括るとお仕事ものだが、主人公がその職業に夢や希望を抱かず単につぶしだと割り切っている点が今っぽい。そこに周囲の人間の問題が組み込まれる点も評価できる。ただ、基本淡々とした展開で物語が進む中、主人公が初回から2度同じ流れでキレた点に単純な型の予感を抱いた

『宮本から君へ』

まだ初回しか見てないけど、素晴らしい。
原作の評判は様々なところで聞くが、未読。池松壮亮演じる宮本のエネルギーがとにかく明るい。明るいんだけど暗い。このアンビバレントを真利子哲也が確信犯的についてくるんだから、間違いようもない。

原作の予備知識がないのでオープニングでベタ過ぎるみやじの声が聞こえ池松壮亮のあの何とも言えない表情のアップを見せられると、もう最高だろうとなってしまう。ヒロインの華村あすかもドラマの出演がほぼ初めてみたいだが存在感があるし、三浦透子にも『素敵な…』を見たばかりでドキッとさせられた

『シグナル』

初回だけでみれば明らかに一番良くできていた。
韓国で大ヒットしたドラマのリメイクで、原作が安定しているのが大きい。設定を説明するような台詞をことごとく省く尾崎将也の脚本も良い。お決まりの警察内部の闇という流れにならず、時空を超えた心情と事件をしっかり結びつけてほしい。

『未解決の女』

初回を見る。大森美香の久々民放作品がテレ朝というのに不安があったが、その不安が見事に的中。
演出が『ケイゾク』『SPEC』と酷似し、主題歌の使い方も『アンナチュラル』の成功の模倣。
そもそも、挑戦的なドラマを悉く避け数字だけを追い求めるテレ朝ドラマに大森美香は勿体なさ過ぎる

きちんとした原作もあり重厚感のある1話完結の刑事もの(謎解き)をやりたいのであれば、今までやってきたように専用の作家を使えばいいのにと思う。
この作品で大森美香が描く書き言葉というのは彼女の作品史的にはとても重要なテーマなのに、それがボヤけまくっている。

もう少し辛抱してみようと思うが、波瑠含め登場人物も全くぱっとしないし、見所が見つからない。
大森脚本のオリジナリティはNHKに戻ったときの楽しみとしたい。

コメントを残す