2019年1月期ドラマ時評

昨日、新年会を兼ねて先輩と会って話したが、1月期のドラマは今のところあまり豊作ではないかもしれないという印象。『3年A組』『トレース』『刑事ゼロ』『人生が楽しくなる幸せの法則』『メゾン・ド・ポリス』『私のおじさん』『さすらい温泉』『デザイナー渋井直人の休日』あたりは、初回でもう特に言うこともないという感じ。

今日までで初回放送済みで残すのは『ゆうべはお楽しみでしたね』『スキャンダル専門弁護士』『フルーツ宅配便』『グッドワイフ』『初めて恋をした日に読む話』『ハケン占い師アタル』『トクサツガガガ』かな。
これプラス今週始まるのもいくつかあるから十分なんだけど。

『ゆうべはお楽しみでしたね』

『ゆうべはお楽しみでしたね』は本田翼とオンラインゲームの親和性(ほんだのばいく)と深夜ドラマのゆるさ、『フルーツ宅配便』は風俗嬢の有象無象を不能の男性の目線から見守る視点で描く点と地方都市(Uターン)、『初めて恋をした日に読む話』はラブに寄り過ぎない(希望)落ちこぼれ塾講師とヤンキー高校生のバディーものの側面が光った。

『スキャンダル専門弁護士』


今のところ一番は『スキャンダル専門弁護士』かな。
初回見た時にラストがあまりにコテコテでいただけないなと思ったけど、2話ではストーリーに抑制が効いて本来このドラマの売りである撮影・演出・脚本などが際立っていた。

倉光泰子のオリジナル脚本はアドリブのようなセリフがテンポ良く交わされ、1話完結のストーリーにも王道を与えず、バラバラに用意した要素を帰納法的に集めて解決するスピード感・整理力が素晴らしい。

関和亮の演出・映像も冴えていて、全体の撮り方もそうだけどカットが変わる前に意図的に竹内結子初め役者のアップを抜いたり、2話の最後の背面からのショットも良かった。

ネット記事を見ると昨今の芸能人の不祥事における謝罪や1話でアイドル2話で社内セクハラやパワハラを扱ったセンセーショナルさを讃える記事も散見されるが、別にその部分に新しさはまるでなくて、見るべきは脚本・演出・映像の3つ。
年上の3人の女性とチームを組む最年少の中川大志も素晴らしい。

今クールは『グッドワイフ』『スキャンダル専門弁護士』『イノセンス 冤罪弁護士』と弁護士ものが3つも。幾ら作りやすいからといってあまりにも専門職ものに拘泥するのは個人的には危険だなと思うが、まだ始まったばかりだし静観。

『イノセンス 冤罪弁護士』初回


弁護士ドラマとしてはあまりにもオーソドックス過ぎる作りだが、丁寧に作られているとは思う。
冤罪というテーマで毎回無罪を勝ち取るという展開には現実味が無いので、今後は真実を究明しても事実は覆せないといった挫折の展開も予想できる。

その時に、警察も検察も被告の証言をも鵜呑みにせず、しっかりと証拠を集め事実確認を行い真実を明らかにするという行為がいかに重要かを今の時代状況と向き合った上で主張することには十分に意義がある。
寡黙な主人公の静かな情熱にもう少し付き合ってもいいかなと思った。

『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』初回

初回に関して言えばこれは物凄く良く出来てた。
今ゾンビものを真正面から作るリスク(『カメラを止めるな!』の二番煎じ)を完全に逆手に取って、ゾンビを非日常の意味的なメタファーとしてのみ使い、そこに地方のアラサー女子をぶつける狙いが素晴らしい。

いつの時代もゾンビは不安や危機のモチーフであり、物語のテーマはあくまで一つ屋根の下で暮らさざるを得ないアラサー女子3人の現状。彼女たちが抱える三者三様の問題を30分という短い尺の中で見事に解説しきっていた。
終わりなき日常に亀裂が生じた今後の彼女たちのあられもない生命力に期待。

『トクサツガガガ』初回


特オタを隠しながら日々を過ごす女の子の苦悩や奮闘をコメディタッチで描く。今でこそ世間のオタクに対するイメージはかなり軟化したが、それでも特殊な趣味趣向は特に職場において、未だにどの程度までオープンにするかと悩む人も多いはず。

会話の流れでたまたま発覚し意気投合したり、はたまた思い切って打ち明けたら死ぬほど盛り上がらかったりと、誰もが経験したことのあるようなあるあるで今後物語が安定して進んでいくのだろうと予測できた。
小芝風花のコメディエンヌぶりと特撮的な演出も嫌味がなく好感を持った。