金曜ドラマ『アンナチュラル』第2話/第3話を観る。

金曜ドラマ『アンナチュラル』第2話 今回は初回以上に石原さとみ演じる主人公・三澄ミコトの過去や現状に踏み込んだ内容だった。この回を見てこのドラマは石原さとみのためのものだと思った。 近年の石原さとみといえば、映画「進撃の巨人」「シン・ゴジラ」ドラマ「校閲ガール」など、リアルの解像度を故意に下げる事で漫画の主人公を地で演じる(3→2.5次元)という過剰にデフォルメされた演技が目立っていた。 人間の内にある数百という複雑な感情を敢えて10個ほどに限定してスイッチ一つでその場に最も適した形で分かりやすく提供するという彼女の驚くべき技法は様々な所で話題になったが、今回はそれとは全く逆の複雑な主人公を演じてみせている。それを引き出す一つの要素が過去のトラウマだろう。 一家四人の練炭自殺で唯一生き残った幼少期の記憶というのは今回含めて今後も事あるごとに触れられる要素となる。その度に彼女は今も十字架を背負っていますという姿を見せる。さらに彼女の今の哀しみ・強さ・明るさなどは周囲の人間と接する姿や表情から浮かび上がってくる。 絶対絶命の状況で窪田正孝演じる後輩に語った死の恐怖や生への執着の姿勢、助かっ...

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TVドラマ評 2018年1月クール作品の紹介

インフルが直撃した影響で1月ドラマの初回時期にぼーっとしたまま過ごしてしまった。 今期はテーマが比較的多岐にわたっており、ドラマごとの特徴が良く出ている。ただ、どこかで見たテーマや内容が多いのも事実。 丁寧につくるか見たことないものをつくることに注力できるかだと思う。 今のところ「anone」「アンナチュラル」「MASKMEN」「電影少女」「隣の家族は青く見える」が良い。 anone 「anone」の先が読めない(つまりストーリーがある)感じは最近の坂元作品では異例。このままぐだぐだになっていくことも充分あり得るが、要所のメッセージを逃したくないという楽しみ方ができる。 アンナチュラル 「アンナチュラル」は質の高い海外ドラマを目標にという記事を目にしたが、設定や構造は従来の日本の連ドラの域を出ているとは言えない。ただ初回に関して言えば、話を二転三転させ真実に辿り着くまでの息もつかせぬ展開は良かった。野木亜紀子の1話完結の謎解きが価値を持ったということなのだろう。 勿論、死因を解明するだけが主題ではなくそこに至るまでの死者の個性や社会的状況から社会派というポイントを加算するのだろうが、そ...

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2017年 小説・映画・TVドラマ ベスト10

2017年 小説(国内)ベスト10 1.『最愛の子ども』松浦理英子 2.『星の子』今村夏子 3.『劇場』又吉直樹 4.『岩場の上から』黒川創 5.『日曜日の人々』高橋弘希 6.『ホサナ』町田康 7.『未熟な同感者』乗代雄介 8.『光点』山岡ミヤ 9.『その八重垣を』三輪太郎 10.『茄子の輝き』滝口悠生 2017年 映画ベスト10 1.『20センチュリー・ウーマン』 2.『バンコクナイツ』 3.『パターソン』 4.『午後8時の訪問者』 5.『彼らが本気で編むときは、』 6.『お嬢さん』 7.『ノクターナル・アニマルズ』 8.『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 9.『夜空はいつでも最高密度の青色だ』 10.『ギフテッド』 2017年 TVドラマベスト10 1.『カルテット』 2.『人は見た目が100パーセント』 3.『この声をきみに』 4.『十九歳』 5.『先に生まれただけの僕』 6.『コードブルー3rd』 7.『嘘なんてひとつもないの』 8.『ぼくは麻里のなか』 9.『伊藤くんAtoE』 10.『感情8号線』 (WOWOW SVOD作品を除く)...

ドラマ『この声をきみに』最終回

ドラマ『この声をきみに』最終回 地震・衆院選・SP番組で計3回も飛ぶという不運に見舞われながらも最後まで丁寧に作られていた秀作。 大森美香の脚本が決定的な仕事をしていたと思う。 大森さんはNHKで書くようになってから全くというほど外さない。今回もNHKでないと描けないような繊細な話。 内容を要約すると、自らの主義に固執するあまり家族から見捨てられた数学者が職場で行けと言われた自己啓発セミナーの先生と出会い人生を見つめ直す話しで、凝り性の人間が綺麗なセミナーの先生に弱った心を癒やされ丸くなっていく話だったらヤバいなと思っていたのだが、勿論そんな浅い話ではなく。 麻生久美子演じる自己啓発セミナーの先生は朗読教室の先生もやっていて、ここから朗読というコアなテーマが導かれる。 主人公の数学者は言葉や声を媒介にゆっくりとつながりを模索していく一方、実は先生の側がそれ以上の問題を抱えていることが発覚する。 シンプルだけどこの逆転が効いている。 人に何かを教える側の人間がその事に確信が持てなくなる苦しさ。 特に今回は“朗読”を着想に、目に見えない言葉や声で人と人を繋いでいくという話だったので、余計に...

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『恋妻家宮本』を観る。

『恋妻家宮本』を観る。 ずっと映画を撮りたいと公言していた遊川さんの作品だったから期待していたんだけど映画館には観に行けなかったのでDVDで鑑賞。 良かった。てっきりオリジナル脚本だと思っていたら原作は重松清の「ファミレス」という作品で、ただ調べてみると原作と設定が変わっている部分もある。 遊川さんの映画に対する真摯さが伝わってくる王道の展開や場面が満載で、そのオーソドックスなつくりの中で、脚本家としての人間を描く力が存分に発揮されていた。 プロットよりも台詞に重きを置いた本作はとてもテレビドラマ的なんだけど、それが映画に置き換えられると証明した遊川映画の誕生だと思う 遊川さんといったらバックグラウンドありきのキャラ設定と建前抜きの鋭い本音がひとつの特徴のだけど、本作は子の手が離れ再び二人での生活がスタートしたありきたりなアラフィフ夫婦の話。 夫婦関係の再確認を起点に、周囲の人々の問題を絡めつつ最後には冒頭と同じファミレスのシーンに戻っていく。 たった2時間のこの一周で27年間の夫婦生活の意味やパートナーの存在意義を過不足なく物語として成立させちゃうんだからすごい。 ひとつ具体的な内容...

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欅坂46『風に吹かれても』を観る。 – 『風は吹いている』から『風に吹かれても』へ –

週末あたりから欅の新曲『風に吹かれても』のテレビパフォーマンスが始まってるけれど、完成度の高さには目を見張るものがある。 MV解禁の時から先輩とはかなり議論しテレビでのパフォーマンスも大体予測してたが、それを遥かに上回ってきていた。 鈴本・小林の貢献度、今泉の笑顔、平手のポテンシャル。 「風吹」というタイトル まとめサイトなどで「風吹」という曲略を見て、AKBの『風は吹いている』という表題曲があったのを思い出した。 確かあれも曲略が「風吹」だった。調べると2011年にリリースされているのでもう6年前の曲。 同じ「風」をコンセプトにAKBと欅の比較をしてみる。 『風は吹いている』は、当時アイドルとしての知名度と人気を確立しつつあったAKBが「私たちは確かに今ここに立っている。 未来を見据えて。大丈夫、風は吹いているから」と、人気=追い風を見方に更なる飛躍を誓った曲ストレートな曲だったと言える。 それから6年、欅坂が歌う『風に吹かれても』の風=人気は実に不確かなものとして描かれる。 それゆえ風に吹かれてどうこうする訳では無く、独自のスタイルを貫く事こそが美学だというメッセージが読み解ける。...

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10月期のドラマが始まってしまっていた。

10月期のドラマが始まってしまっていた。 『奥様は、取り扱い注意』 初回で最も重要な物語の設定説明がかなり雑。あまりにも都合よく裏社会から足洗って、結婚して、仲のいいご近所さんが出来てという展開をこのままスルーする訳もなく、ラスボスは夫の西島でほぼ決まりだろう。 ご近所さんの夫婦関係が物語を通底するストーリーになり、そこに並行して奥様がダメ男を1話完結で退治していく単純明快な勧善懲悪ストーリーなのだろう。金城一紀脚本なので初回もだけど内容はそれなりに期待を持たせてくれる。主婦業とワンダーウーマン業の妙なバランスに惹かれた部分はあった。 『わろてんか』初週 朝ドラ特有、ヒロイン幼少期からの生い立ちを説明するはじめの1週間がどうも面白く見れない。ただ、ラストで葵わかなが登場し予告での個性豊かな顔ぶれを見られたことで期待もある。 葵わかなが思った以上に顔が濃くて驚いた。 広瀬アリスを近くに置いたのもその関係かな。 『恋する香港』初回 今日始まった「刑事ゆがみ」が倉光泰子脚本というのは知ったいたので、こっちもかと驚いた。はっきりとは分からないが恐らくオリジナル。 途中までテレ東の真似事のような...

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映画『パターソン』を観る。- 理想としてのレギュラー/イレギュラー –

映画『パターソン』を観てきた。 30歳でぶち当たった仕事での壁とその影響でぎくしゃくした彼女との関係が少しでも晴れればという希望を込めて。 彼女からは、「パターソン宝田くんみたいだね」という言葉をいただいた。(悪い意味で) さて、まず驚いたのは、恐らく理想のど真ん中に来るだろうと予想していたパターソンと恋人のローラとの関係が思っていたものとは若干違っていたこと。 あの関係を的確に現す“尻に敷く”という日本語があり、僕はパターソンの恋人とうまくやっていくための小さな気配りの積み重ねは素敵だと感じたが、二人のケースをモデルに力関係にやや偏りがある男女が多く登場するこの映画が心から素晴らしいと思える人間がどれ程いるのかというのが気になった。 月~金、決まった時間に起きて決まった時間に出社して決まった時間に退社して決まった時間に愛犬の散歩中にバーに立ち寄りビールを飲む。平日の空き時間と土日は趣味に勤しむ。 恐らくこの至高の日常を与えられてもそれをものに出来ない人間が多すぎるのだと思う。 どういう訳か根を詰めて仕事をしてみたり、仲良くもない人と今にも切れそうな糸で繋がってみたり。 今...

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ドラマ『僕たちがやりました』最終回を観る

ドラマ『僕たちがやりました』最終回を観る まずは、第2話を観たときの感想から。 初回見たときにサスペンスとしてもコメディとしても学園ものとしても中途半端だなとガッカリしたけど、もしかしたらこの物語が目指しているのは今の若者のリアルな成長譚なのかもしれないと考えたら面白く見れるようになった。 そこそこ幸せやそこそこ楽しいがモットーで、それを不自由なく享受し続けたいと思う呑気な主人公にふりかかる外圧。 人を殺してしまったかもしれないという状況への後悔や焦燥の一方で集中力や興味が続かず、都合の良い解釈や脱線で事実をうやむやにしようとする。 ここら辺の描写が今の若者っぽい。 このレベルの窮地に於いてなお、幼なじみへのエロい思考回路や海外逃亡という短絡的な推測。 正直痛々しいほどだがもしかしたら今やこのような予期せぬ外圧以外に人を考えさせたり成長させたりする要因が無くなっているのではないかと考えてしまう。 彼の成長をどう描くのかが今後のポイントだろう。 「僕たちがやりました」最終回 まず、原作漫画を読んでないのに2話でこういう話になりそうと読んだ自分の見立てを褒めたい。 途中からはまさに世相を映...

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ドラマ『過保護のカホコ』最終話を観る。

「過保護のカホコ」最終話。 びっくりするほど真っ直ぐなハッピーエンド。最後、指輪が坂を転げてそれを母親が追っかける引きのシーンでマジかここでトラックに轢かれるのかよと不安がよぎったけど、そんなことも全くなく。しかもこの爽快なエンディングがすっばらしい。遊川さん、これで良いんです。 鬼母ものにおいては、母の子供に対する異常なまでの愛とそのエスカレーションが核になる収束の話が多い。 ただこの物語はそこの温度を一定に留め、子供の変化から導かれる親やもっと大きな家族ごとの変化をダイナミックに描いた発散の物語になっていった。当初からの地図の赤い線はその伏線だろう。 過保護の特性を、子供の壁になってあげるための愛がいつしか子供への壁になってしまうと説明した。言葉にすると当たり前なんだけど、ここまで描き切らないと「お母さん、娘をやめていいですか?」みたいに最後まで煮え切らなくなってしまう。 そういった意味では、本作は紛れもなく鬼母もの過保護親ものの決定版と言え、もうこのジャンルにおいてはこれ以上の作品をつくる必要がないと思わせるほどの作品だったと思う。...

ドラマ『ごめん、愛してる』最終回を観る。

『ごめん、愛してる』最終回。 凡庸ではあるものの韓国ドラマのリメイクだけあって、愛する人に愛してると言えない悲劇はつくれていたと思う。相手のことを思って涙する資格がないという母親の台詞の重み然り。 一方で、連ドラの限界も露呈した。 終わり方としては、長瀬のタイトル台詞、吉岡里帆の泣き崩れる姿、長瀬が波打ち際を去っていく、タイトルバックドーンしかない。これは最近の映画にも多いラストタイトルバックの手法を取り入れたシーンなのに、1年後というしょうもない後付けとともに心臓移植が行われたことを説明しちゃう。 あれを説明しないと苦情が来ちゃうという配慮なんだろうけど、ドラマで伝えたかったメッセージより視聴者からの苦情を避ける説明が優先されてしまうことにげんなりした。 この残念な終わり方で一番損したのは吉岡里帆だと思う。 ヒロインの資質において常に及第点より少し下でパッとせず力を持て余していた吉岡がタイトルの台詞を受け崩れ落ちるところで見事に花開いたのに、その後を付け足しのせいでこのドラマは彼女が微笑みながら歩いていくシーンで終わる。正直、あれじゃ全く残らない。 この物語は視点人物からしたら明らか...

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映画『三度目の殺人』を観る。

『三度目の殺人』を観てきた。圧巻。 司法制度・死刑問題・真実とは何かなど、切り口は多様でしかも手垢がついたものばかり。しかし、これを是枝監督が映画にするとこれまでには到達しえなかった情景が浮かび上がってくる。 制度・問題・真実、これらは全て人間によってつくられたものである。 脆く移ろい易い人間の心理の上に成立する諸問題の責任はどこに希求するのが正しいのか。本来、人はそんなことを考えることなく日々を過ごしている。或いはある程度打算的な人間なら、社会や自己のルールを弁えて上手く立ち回ることができるだろう。本作の主人公はまさにそのようなタイプの人間である。 主人公・重盛の冒頭からの幾つかの台詞で、彼のパーソナリティは強烈に伝わってくる。その彼が弁護を引き受けた三隅という二度目の殺人を犯した犯人と接見する中で、彼の異常なまでの主義が簡単に翻弄されてしまう。この二人のやりとりが晒す人間の心理こそがこの映画の肝だろう。 接見の全容を明かすと、面会を重ねていくうちに弁護士の重盛は殺人犯の三隅と似たような考えの持ち主だったということが分かり(同情により感情移入してしまったという事では全くなく)、次第に...

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ドラマ『感情8号線』を観る。

『感情8号線』フジのCSで今年の頭にやっていたものが地上波再放送。 深夜のかなり深い時間でしかも不定期だったので見た人ほぼいないと思うけど、とてもいいドラマだった。 まず、作りが非常に丁寧。各回1人を主人公においた全6回なのだが、毎回主人公たちの感情がしっかり表現されていた。 主人公たちに共通するのが気持ちが晴れないということで、それは恋愛だったり仕事・家庭など普遍的な女性の悩みが投影される。 晴れない気持ちの中で生きがいやアイデンティティを模索しながら先が見えない霧の中を彷徨う中で、ふっと気持ちが軽くなる瞬間が毎回ラストにちゃんとある。 オムニバス形式のそれだけでも見事だったが、この物語の主人公たちは冒頭のナレーションにもあるように俯瞰でみると近くて遠い微妙な位置関係に配置されている。 絶妙に関与し合う彼女たちの距離感は、電車では繋がらないが国道では繋がっているという環八沿いの街の不思議なつながりとマッチする。 ぼんやりとではあるが連綿とした繫がりにより浮かび上がる女性たちの感情の豊かさ、昨今の女子同士ものドラマの足し算演出とは真逆な極力説明を省いたつくりと現実指向、気付けば共鳴・反...

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映画『エル ELLE』を観る。

ポール・バーホーベン監督の映画『エル ELLE』を観た。 フィリップ・ディジャンによる小説『Oh…』を原作としたエロティック・サスペンス。 登場人物が多く、主人公の一見予測不能な言動から多少混乱するようなところのあるストーリーだったけれども、よく考えるととてもシンプルなメッセージ性のある映画だった。 それは最初と最後のシーンを見れば明確だ。 映画の開始1秒で死亡フラグが立つ主人公が、最後のシーンで墓参りをしている。 物語の中で起こる事件がシンプルに描写されていくということもあるが、この映画に関しては動機の深読みや裏付けは必要なかったと思う。 起こることを淡々と整理していく処理能力と結果だけ分かれば十分に楽しめる。 これは主人公の主義ともシンクロする。 彼女は徹底的に恥を恐れず、そして不感症。 ストーリー的には女性の話なんだけれども、今の時代この2つの能力は生きる上でのマストなスキルと言えつつもあり、強く生きたいと思う万人に当てはまるものではないか。 主人公は、その能力を体得することで、自分を苦しめ続けた関連のある人物を名実ともに抹殺することに成功する。 一方で、この能力が自...

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映画『君の膵臓をたべたい』を観る。

東京に来ている母と妹が『君の膵臓をたべたい』を見るということだったので一緒に見て行ってきた。 普段、自分では選ばない映画を見れたことが良かった。 上手くまとまっていたと思う。 一般的に、この手の物語で避けて通れないのが、病気や事故で主人公が亡くなるというケータイ小説的な安易さ。 この映画では、高校生カップルと死が結びつくだけで生じるチープさを避けるため、死を敢えて重く扱わないようにつくられていたのだろう。 それが余命幾ばくもないヒロインが醸すファンタジー性と、他人と向き合おうとしない主人公の当初の薄情さからうかがえる。 この土台をしっかりと踏襲しつつクライマックスでヒロインのリアルとそれを受け止めて変わる主人公の姿を描く。 ヒロインはなぜ自身の最後を主人公に託したのか。 これは実にうまく表現されていた。 彼が最後に送ろうとして消したメールの長文、結果として最後に送ったメールの文章、それに完全に呼応する形で長い年月を越え届いた彼女からの最後のメッセージ。 最後の言葉。これがもたらした彼の変化によって彼女は彼や親友の心に永遠に生き続けることになる必然。 若いキャストで痛々しくも瑞々しさを備...

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『ふたりのキャンバス』を観る。

『ふたりのキャンバス』を観る。 それは毎年のように、あるいは風物詩のように、なぜか8月にあるNHKの戦争テーマのドラマ。 被爆者の体験を聞きながらそれを1年がかりで絵にする女子高生の話。 戦争の記憶を若い世代が引き継ぐことが描かれるのだろうと思っていたが、そう単純ではなかった。 軸となるのは主人公と友人・主人公と被爆者の方との関係にある。 次第に距離が近づいていく2人の学校生活と並行して、被爆者の方とのやり取りも進んでいく。 主人公を取り巻くこの二つの関係が行きつく結論は他人の事や昔の事は分からないということである。 しかし、だからこそ、自分でしっかり考えないといけないし、そこから導き出された答えがあればそれで十分なのだ。 下書きや絵の具で描いていく過程を追い、主人公が1年を掛けてようやく完成させた絵は最後に見切れるような形で一瞬しか映らない。 それを見に来た被爆者の方はきっぱりと「記憶とは違う」と言う。ただ、続けて「あんたの絵がええ」と褒める。そこに自分で考え導き出した答えがあったからだろう。 主人公が描いた絵を受け手に最後まで見せなかったのは、あなたもあなたの力で描いて下さいという...

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欅坂46『真っ白なものは汚したくなる』/乃木坂46『逃げ水』、MVを観る。

欅坂に対して「無邪気な少女たちが大人たち資本主義システムの道具とされている」という批判があるけれども、偶像のシュミラークルによる叛乱/革命的なダンスには、なんらかの自己言及的なアポリアと時限装置的バグが内在されていそうでワクワクするでしよ? 欅坂46の1st アルバム『真っ白なものは汚したくなる』が発売された。 アルバムリード『月曜日の朝、スカートを切られた』は、指摘するまでもなく『サイレントマジョリティー』の前日譚。 彼女たちが如何にして革命戦士になったか、自我が芽生えた瞬間を切り取る。「メチャカリ」のCMともリンクしててストーリー性が高い。 更に収束の精度や時期も的確で、作り手の欅愛が伝わる。 物語に関わらず総ての出来事の見映えは発散と収束の具合に因るもので、『月曜日の朝、スカートを切られた』のように収束の側は作り手の愛やパワーでそれなりの質が保たれるというのがよく分かる。 もちろんここに物語を見て悦に入るファンも多いことが想定できるが、僕はこのMVには欅本来の魅力は感じなかった。 今の欅の凄みは、作り手のそれなりのバランスや狙いを遥かに上回る得体の知れなさで、これは発散からしか生...

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第157回芥川賞/直木賞について

直木賞の佐藤正午さんの接待受賞(されてしかるべき)と比べて、沼田さんの芥川賞受賞は意外だった。 芥川賞には「あの作品で取るべきだった」とか「この作品にあげちゃうか」という喧喧諤諤がつきもので、作家たちはいつまでもそれを僻んだりネタにしたりし続ける。 沼田さんの『影裏』は(デビュー作ということもあり)「あの作品で取るべきだった」と言われる作品で受賞を遂げた極めて稀な例だといえる。 読んだ後のメモはこんな感じだった。 文学界新人賞受賞作。短い作品。 岩手の自然の滑らかさや釣りの俗気ない描写ですらすらと読ませてしまうのだが、途中で一回・最後にもう一回、誤って飲み込んでしまうと窒息しかける異物が紛れている。描かないことで浮かびあがってくる輪郭のみに対峙している不確かが不気味であるも逃れられない。震災との距離も考え抜かれており、筆者の並々ならぬ才能を感じた。 欲を言えば、今村夏子さん『星の子』の同時受賞を見たかった。 これも現代における本当の怖さに肉薄したエキセントリックな作品だったから。 第157回芥川賞は沼田真佑さんに決定!(平成29年上半期)|公益財団法人日本文学振興会 第157回直木賞は...

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映画『メアリと魔法の花』を観る。

『メアリと魔法の花』を見てきた。 正直に言って、出来に関しては、期待に応えるものではなかった。 ただ裏を返せば、これからのポノック作品は上がる一方だという長いスパンでの期待を考えれば問題ないように思う。 論点は2つ。 一つ、子供向けであること。二つ、ポノック長編第一作目ということ。 設定上、核となるのは2日の話で100分の映画で50分ずつで2日を描くというのが単純計算。 詳しく計った訳ではないが、割と正直にそういう分割だったと感じた。 だから特に前半が説明的で間延びした印象になる。 画で世界観を提示するという命題が前半にあったなら子供向けとしては仕方ないと言えるが主人公の精神年齢が幼かったり登場人物が少ないことも、ストーリーが単線的になった要因だと思う。 とはいえ、ここも分かりやすさを重視しているという目的があってのことなら今後改善は見込めるだろう。 2点目のポノックでの1作目というのは、これを米林監督の3作目という捉え方をしてしまうと、まるで駄作のような感じが増してしまうということ。 ジブリ作品の「アリエッティ」「マーニー」と「メアリ」は分けて考えるべきだろう。 現段階でジブリとの対...

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ドラマ『100万円の女たち』最終回を観る。

『100万円の女たち』最終回 今回のクールには「CRISIS」や「小さな巨人」など直接的な政権批判をやったドラマもある中で、本作は抽象度を高めた上でしっかり現代を批評するテーマを描いていると少なからずラスト前までは思っていた。 作中で鍵となっている“漂う”という態度がまさにそうである。 主人公である売れない作家の道間が作中で発表する『漂う感情』という本のタイトルからもそれがうかがえる。 では、この“漂う”というのは一体どういうことなのか。 死刑囚の父を持つという設定から、当初は“贖罪”というテーマに関連するのだと思っていた。 しかし、物語が進むにつれて次第に見えてくるこの“漂う”ことの真意が、未成熟ではあるものの友も敵もつくらない友好の可能性だど気づかされる。 これは東浩紀の『ゲンロン0』で書かれた「観光客」についての言及とも重なる。 主人公が漂うことを赦さない、堕落した「国家」や「政治」の存在も確かだ。 例えば、「国家」について。主人公と謎の女たちが生活する小さなコミュニティの外部には明らかに薄っぺらい人たちの世界が置かれている。売れっ子作家の自己啓発的な発言の連続や主人公を脅迫する...

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TVドラマ評『CRISIS』『リバース』『人は見た目が100パーセント』最終回について

TVドラマ評『CRISIS』『リバース』『人は見た目が100パーセント』最終回について 『CRISIS』最終回 過去のツイートでも触れたが、物語の中盤以降主人公たちの属する部隊が国や国民を守るという警察本来の任務と、国家や権力者というより大きな力にとって不都合な真実を抹殺することの間で板挟みになるというテーマが最後の最後まで描き抜かれていた。 彼らの理念は裏から入って表に出してやること。 それぞれが過去の痛ましい経験を背負いながらもどうすれば表に戻ってこられるか、しかしこの揺らぐことのない信念は最終回でもあっけなく阻まれてしまう。より大きな権力が過程を無視し結果だけに目を向けるからだ。裏から入って表に出る前に消す。 より大きな国家や権力の前に市民が如何に無力であるか。 特出すべき能力を兼ね備えた公安チームでも権力には抗えない。 ラスト間際ではメンバーがテロリストへの反転を示唆する描写がある。じわじわと膨らんでいった彼らの不安や行き場のない怒りは中盤以降小出しに描かれていた。 まさに今の日本が直面する問題そのものである。 毎話用意されるターゲットに一貫性がなく物語としての大筋が見られない...

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映画『20センチュリー・ウーマン』を観る。~1979年のフェイク・ファミリー~

『20センチュリー・ウーマン』を観てきた。 まず驚いたのが、この映画の語り口が今の日本のテレビドラマと非常に似ているということ。岡田恵和や坂元裕二がここ数年描き続けてきたテーマとの近接性。簡潔に言ってしまえば“疑似家族”。 もちろん主軸はドロシーとジェイミーの親子関係なんだけど。 一つ屋根の下で他人同士が暮らすという設定の上で重要なのが個々のキャラクターや人物の背景。岡田さんや坂元さんもこれが上手いんだけど、この映画もこの点が素晴らしい。 例えば、ウィリアム。絶体バレる状況下でアビーと関係を持ったり、ドロシーに不意にキスをしてしまったりする。 そこには彼の色男としての明暗があり、ヒッピーだった過去は作品全体の雰囲気をリードしている。にも関わらずフェミニズムというテーマの前に唯一の成人男性という添え者として存在感の薄さ。重層的なキャラが作品に奉仕する成功例。 アビーとジュリーという2人の若い女の子のキャラもいい。 ニューヨークのアートスクールをガンを発病したことでで諦めたアビーの過激なフェミニズムとジェイミーと微妙な距離感を保ちつつ大人の表情を見せるジュリー。この2人の女の子と一緒にいる...

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映画『メッセージ』を観る。

映画『メッセージ』を観る。 平たく言えば「ディザスター×SF×哲学」。 冒頭からの未確認物体が現れ平穏が揺るがされるあたりのスピード感は『シン・ゴジラ』を思わせる。特段説明もなく物語が始まるやいなや恐怖はそこにあり、人々は脅かされている。戸惑いや逃げ惑う人々の描写はディザスター映画そのもの。 ただ、ディザスター要素はほぼここで終わり。後は主人公と未確認生命との対話を通じて物語が静かに広がっていく。 難解にもとれる物語の哲学的なメッセージをいかに汲み取るかが映画の面白さになっていて響く人には響くんだろうけど、自分はそれほどピンとこなかった。 物語の鍵の1つが未確認物体が世界の12の地域に同時に現れること。 対話によって未確認生命と距離を縮めていく主人公の言語学者をもってしてもどうしようもない各国の態度や戦力が今の世界情勢とリンクしているのは容易に想像がつく。僕はここら辺にもう少し含みを持たせることに期待していた。 ただ、最終的に物語が落ちた場所は独りの個人の内面であり、翻ってこの世界を揺るがした大きな不安定さも極めて個人的な動機に由来していたということになる。そこに共感できなければ中盤の...

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映画『LION/ライオン ~25年目のただいま~』を観る。

『LION/ライオン ~25年目のただいま~』を観てきた。 久しぶりの映画だった。緊張感持って見たせいか、いつも映画を見ている際に眠くなってしまう時間があるのだけれど、今回は眠くならなかった。 映画は、低予算かつ監督は初の長編作品とは思えない出来だった。 印象的だったのは撮影だ。物語を劇的なものにしたGoogleアースに倣った空撮、インドとオーストラリアの自然の力強さ、ジルーの幼少期など、写真を見ているようだった。 写真集を想起される過剰なまでのカット割りもドキュメントという意識があってのことだろう。 発展途上国の貧しい子どもの写真というのはメッセージ性が強く教育的で、ただ本作はUNICEFがエンドクレジットに流れることからも、単なる感動譚に嵌め込まないという監督の意図があったと思う。 一方で、そのドキュメンタリー要素と対をなす物語的な起伏が少し弱かったのは残念。 迷子から養子としてオーストラリアに行くまてで全体の半分。ここをしっかり描くことで再会がドラマチックになるのは確かなのだけど、テーブルマナーのシーンなどは要るのだろうか。 恐らく原作で監督が気に入ったシーンなんだろうけれども。...

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坂道AKB「誰のことを一番 愛してる?」 ~ モーセからキリストへ、”欅坂のニュータイプ” 平手 友梨奈 ~

AKB以降の秋元康プロデュースアイドルにおける現段階での最高傑作であり極致といえる。 アイドルの面白さとしての目まぐるしい流動性を否定するまでの基準ができてしまった。 構造の面白さとして、ダンスや歌詞・曲調などコンセプトのすべてが欅坂にひっぱられていることが挙げられる。 欅以外のメンバーはこの曲をパフォーマンスすることの意味を理解している。 その上で沸き上がる嫉妬と悦びを全身で表現しようとする挑戦的な姿勢を感じる。 その反面、不馴れな違和感も拭えない。 他方、欅のメンバーは歴が浅くても自分たちの得意とする土俵でそれなりにまとまった表現ができている。 ここから更に個々のメンバーの思いの強さや余裕から微妙な違和感が生まれる。 これらの不協和音を纏ったセンターの平手はダンスも歌も殆ど力が入っていない、いわば象徴としてのセンターとして屹立している。 その姿はかつての前田敦子のよう。 脱AKB・脱乃木坂を掲げて欅坂というアイドルとしての新形態に挑むメンバーを尻目に、欅坂のセンターはかつてAKBとして圧倒的な存在感を誇ったメンバーとして佇む という円環構造。 その大きな渦の中に未来はあるのだろうか...

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TVドラマ評 2017年4月クール作品の解説・確定版

4月ドラマ解説・確定版です。チェック出来た範囲でのものです。 犯罪症候群 WOWOWと東海テレビの共同製作。 妹を殺害されたショックとトラウマから警察を辞め、今は探偵をしている主人公とその主人公に事件の捜査を依頼する警察組織の人間たちを描くクライムサスペンス。 東海テレビで8話、その後WOWOWで4話という日程で放送されます。 ストーリーとしては、主人公のトラウマと警察内部の闇の2つが核になっていくようです。主人公の探偵を玉山鉄二・警察組織の鍵を握る人物を渡部篤郎が演じ見応えはあるのですが、初回で起きた事件が3話にして解決され黒幕のようにもったいぶって描いていた人物があっさり捕まるなど(それによって警察内部の闇という伏線はできるのですが)すべてが完璧かと言われれば微妙です。 4号警備 警察ではなく民間警備会社を舞台に、そこに務める警備員のペアが主人公の一話完結ドラマです。主演のペアを演じるのは窪田正孝と北村一輝。 民間警備会社の身辺警護という部分にスポットを当てた新しさはあるかもしれないですが、こちらの主人公も恋人を目の前で殺害されたトラウマから警察を辞め警備会社へ転職したという設定に...

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小嶋陽菜がAKB48を劇場での卒業公演をもって卒業した。

小嶋陽菜が先日のAKB48劇場での卒業公演をもって卒業した。 前田敦子以降、AKB主要メンバーの卒業は大きな注目を浴びてきた。 今回の小嶋の卒業に関しては、「まだ卒業してなかったのか」や「卒業公演前もやってなかった」という声も多く聞かれた。 小嶋含め主要メンバーはみな同じルートで卒業しているにもかかわらず、結局このシステムは世間に認知されなかったことになる。 独特ともとれるそのスケジュールを完結に整理すると、 ①メンバーによる卒業発表 ②具体的な卒業日の確定 ③卒業ライブ(大箱) ④AKB劇場での卒業公演 という手順になる。 小嶋陽菜に関して言えば、去年の総選挙での①から先日の④までで約1年間が経過している。 引き継ぎ的な理由もあるし、卒業曲をセンターでリリースするとその握手会日程は消化しないといけない。 また、ライブ会場のスケジュールや今回の小嶋のように卒業日を誕生日や記念日にするケースも少なくない。 今や完全にシステム化されているAKBという巨大グループにおいては、卒業するのも簡単ではない。 そのシステムの根本を作り上げたメンバーの一人こそ何を隠そう、小嶋陽菜だったのである。 この...

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TVドラマ評 2017年4月クール作品の紹介

4月クールのドラマが始まりだしました。特に初回は出来るだけ全て見ようと忙しくしてるのですが、今回は非常にバリエーションに富んだ良作揃いです。 そんな中でネットではこういった記事が散見しますね。 http://www.asagei.com/excerpt/79263 http://biz-journal.jp/2017/04/post_18710.html ライターも書き手だから、ある程度過激な事を求められているという立場を踏まえての記事なのでしょう。 ただ最も問題なのは、この記事だけを読んで「今回のドラマも総じてつまらないんだね」と見てもない人間が思ってしまう事です。いくらネットの三文記事とはいえ、その影響力や捉えられ方を想像して書かれない記事は良くないなと思ったりします。 「犯罪症候群」「クライシス」 両者とも刑事モノとミステリーという割と万人受けする形式です。 前者はwowowと東海テレビというドラマフリークが否が応でも期待を寄せるタッグですし、後者は公安という使い尽くされたネタを、初回だけで2つ事件を用意しキレよく処理していく中でチーム内キャラや立ち位置をスマートに説明する技量は...

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欅坂46 – 君から僕へ ~ 平手友梨奈と2度目の春の事変 –

欅坂46がCDデビューを果たしたのは、今から1年前の2016年4月6日だった。 その鮮烈なデビューは世間でも注目を浴び、過激なメッセージを纏う姿から「反体制アイドル」とも呼ばれた彼女たちは、デビューからわずか8ヶ月で紅白歌合戦に出場するなど現在も破竹の勢いで支持を広げている。 その欅坂46がデビュー1周年を記念して、アイドルとしては初めてNHKの音楽番組「SONGS」に出演を果たした。番組では、デビューシングルから先日発売されたばかりの4thシングル(TV初披露)までのパフォーマンスの合間に4作連続でセンターを務めた平手友梨奈へのインタビューが差し込まれた。 グループアイドルのセンターはグループを象徴する存在として担ぎ上げられる。AKB48が世間に登場して以降、センターが示すものについては世間でも広く認知されることになった。無論、平手友梨奈も例外ではない。しかし、これまでリリースされた楽曲のパフォーマンスを見ると、欅坂46は既存のアイドルとは異なる路線を辿っているように映る。それが番組の構成からもはっきりとうたがえた。 パフォーマンスをコンセプトに掲げるグループとはいえデビュー1年ほど...

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映画『バンコクナイツ』を観る。

「バンコクナイツ」を観てきた。 3時間、全く長く感じなかった。 まず、アメリカを初め全世界的に内向き傾向が顕著になっている中、日本にこれ程まで広い射程で外に向かって力を注げる人間たちがいることを同じ日本人として誇りに思う。しかもその外は全くもってユートピアではない。 その証拠に本作では戦争が大きなテーマとして横たわる。歴史上何度も発生した東南アジアを舞台とした戦争に日本人はどれ程までに近づけるか。欧米人と同じく資本を振りかざしては捩じ伏せてきた傲慢な態度は形を変えて現存する。 ありのままの現状が映画の中にはあった。 日本には夢がないといいながら向かう先の東南アジアはユートピアかもしれない。しかし主人公の男は自覚する。現地の女も対抗する。 その全容が掴めないまま肥大する様々な欲望に迫り、今の東南アジアに横たわるもとのして捉え直したことに本作の真価があったと思う。 主人公の男が戦争の跡のあるディエンビエンフーまでたどり着いてしまう辺りの描写に今のリベラルの滑稽さが強烈に重なったりもしたんだけど、リベラルというのは結局如何に他者を受け入れるかという姿勢なのだから、滑稽ではありつつも正しく他者...

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