芥川賞についての定期投稿

さて今回は候補作を読み終わった芥川賞についての定期投稿です。 前回の第150回記念は、事前の高い評判を押し切って小山田浩子『穴』が受賞。 読む前はどうせ小山田だろうと思ってましたが、作品を丁寧に一つ一つ読んでいくと意外と他の候補作も良くできていて、山下澄人『コルバトントリ』なんかは受賞に肉薄するのでは(願望を込めてですが)なんて思っていました。 そんなことも含め、下馬評通りの結果に物足りなさを感じたのですが、だんだんと今の選考委員の傾向も顕れてきているのかなと思ったりしています。 今回は第151回になります。まずは候補作の紹介から。 戌井昭人  「どろにやいと」(群像1月号) 小林エリカ 「マダム・キュリーと朝食を」(すばる4月号) 柴崎友香  「春の庭」(文學界6月号) 羽田圭介  「メタモルフォシス」(新潮3月号) 横山悠太  「吾輩ハ猫ニナル」(群像6月号) 毎度おなじみの顔ぶれからちょっと意外な候補者、そして候補作が出揃う前から恐らく受賞が濃厚と純文学界隈でかなりに話題になっていた新人賞受賞者までといったところです。 前回明らかになったように、芥川賞の選評には下馬評の強さという...

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芥川賞選評

さて今回は候補作を読み終わった芥川賞についての定期投稿です。 前回の第150回記念は、事前の高い評判を押し切って小山田浩子『穴』が受賞。 読む前はどうせ小山田だろうと思ってましたが、作品を丁寧に一つ一つ読んでいくと意外と他の候補作も良くできていて、山下澄人『コルバトントリ』なんかは受賞に肉薄するのでは(願望を込めてですが)なんて思っていました。 そんなことも含め、下馬評通りの結果になんとなく面白くなさを感じたのですが、だんだんと今の選考委員の傾向も顕れてきているのかなと思ったりしています。 今回は第151回になります。まずは候補作の紹介から。 戌井昭人     「どろにやいと」(群像1月号) 小林エリカ    「マダム・キュリーと朝食を」(すばる4月号) 柴崎友香     「春の庭」(文學界6月号) 羽田圭介     「メタモルフォシス」(新潮3月号) 横山悠太     「吾輩ハ猫ニナル」(群像6月号) 毎度おなじみの顔ぶれからちょっと意外な候補者、そして候補作が出揃う前から恐らく受賞が濃厚と純文学界隈でかなりに話題になっていた新人賞受賞者までといったところです。 前回明らかになったよ...

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【2014年】4月期 ドラマ時評概論

大型連休いかがお過ごしでしょう。 気づけば一度も連なって休むことなく連休も折り返され、後半も連休がないままそうやって日々が続いていくという悲しさと闘っています。 ちゃんと連休を満喫してくださいね。 遅くなりましたが、連ドラ後篇です。今回のクールの見どころを一気に! もう始まって少し経ちますが、これを読んで少しでも多くのドラマを今から見たいと思う人がいればと思います。 ■取り上げるドラマ 『極悪がんぼ』 『MOZU』 『続・最後から二番目の恋』 『アリスの棘』 『リバースエッジ』 『セーラーゾンビ』 『ロング・グッドバイ』 『ルーズベルトゲーム』 多い!今回のクールはマジで神懸ってます。 上記以外にもたくさん面白いのあるんですが、あまり多くても混乱を来すので。 『BORDER』2話を見た後にTwitterに『シュールレアリスム』から『マジックリアリズム』へみたいな事を書いて、次の日にガルシアマルケスが死んだという事に個人的に理論を越えた偶然を感じ、結局『百年の孤独』を読むことが出来た先週でした。 このような日常に風穴を開け現れるアンリアル、これがドラマの本懐だと思います。 しかし、僕は昨...

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僕の大好きな「TVドラマ」について、前のクールのおさらい(結果を残したもの)

やって参りました。季節の変わり目。 みなさん、フィクションと存分に戯れているでしょうか。 今回は、僕の大好きな「TVドラマ」について、前のクールのおさらい(結果を残したもの)について書いていきます。 そして数日後には、4月クール(ドラマによってはもう2話3話まで進んでいますが)の見どころ・展望などを書きたいと思います。 そうですね、前後編として2回にわたってというかたちになると思います。 さて早速ですが、まずは今回これから触れるドラマを書き出しておきます。 気になる(なった)ところだけ読んで下さい。 それではスタートです。 ・前回のドラマのなかで取り上げるもの 「失恋ショコラティエ」 「S -最後の警官-」 「明日ママがいない」 「なぞの転校生」 「宮本武蔵」 「LEADERS」 最後の2つは2夜連続×2時間ドラマです。前回と今回の連ドラの間で放送されました。 キムタク版の宮本武蔵と佐藤浩市で豊田喜一郎の伝記をドラマ化したものです。 早速ですが、前回の連ドラで最後まで面白く見れたのは「なぞの転校生」の1つのみでした。 ただこんなのはよくあることで、沢山見ていく中でだんだん切っていくとい...

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小保方さんのゆくえ

みなさんこんばんは。 前回の小沢健二の話はどうだったでしょうか。 あれからも世界は動きに動いていて、例えば、「いいとも!」がついに終わっちゃいましたね。 誰かが言ってたことだけど、小学校とかの時から、祝日に学校が休みになると見れた「いいとも!」って凄い特別な感じでした。 そして最終回見てガチで泣きましたよ。何で泣いたのかも分かんないけど、タモさんにありがとうって思ったからなのでしょう。 遠い先、いつかタモさんが死んだときに少しは分かるかもしれないなって思いました。 そうやって、「いいとも!」の最終回だけでたくさん書けるなとも思ったのですが、あれは僕が何を書いても面白くはならないと思ったのでやめました、ってか諦めました。 「いいとも!」によって、「終わりなき日常」が少し終わったり(311ですら「終わりなき日常」を完全に終わらせれなかったと考えると、「いいとも!」が如何に凄かったかが分かります)宇野さんの「ANN0」が終わったり(宇野さんが最終回では、このラジオで僕が一番成長させてもらえたとかいうもんだから少し淋しくなったり)、1月クールのドラマがや朝ドラが終わったり(ドラマ評は今クールの...

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知らない人の遠い昔の今~カローラⅡに乗り込んだ小沢健二の功罪

知らない人の遠い昔の今~カローラⅡに乗り込んだ小沢健二の功罪 先週ぐらいからですかね、僕は一人の男について思いを巡らせていましたので、今回はそれについての話です。 その男はずばり、オザケンこと小沢健二です。 少なくとも先週末辺りには、オザケンについて一定数の熱のこもった盛り上がりを確認できました。 今TSUTAYAに行ったらオザケンとフリッパーズギター(彼が以前在籍してたバンド)のCDのところだけごっそり借りられてるとかざらに起こってます。 そう、あなたの知らないところでミクロ単位で世界は駆動しているのですが、そんなことはどうでもいいか。 主に先週末のオザケンについての盛り上がりに、ここぞとばかりに便乗したファン(というか小沢健二が語れる人)の饒舌な口ぶりから、小沢健二はやはりすごい人だったんだなぁと再認識させされることになります。 そんな通からミーハーまで、「あの頃」小沢健二を消費してきた人たちの盛り上がりの片隅で、今回は小沢健二をほぼ語れなかった人間が、敢えてこれから小沢健二について書いてみようと思ったのです。何の構想も浮かばないままに。 それは、「海へ行くつもりじゃなかった」と言...

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佐村河内問題について

週末超絶バズってた佐村河内問題に正直むっちゃテンション上がりまくってたんですが、ここは絶対に静観しないとというか「動きすぎてはいけない」の精神でひたすら耐えて耐えて、この問題について書かれた記事をネット新聞等出来る限りの力で拾いに拾って週末を過ごしてました。 その結果、この記事が個人的にベストだと思ったので、紹介までに。 会見も生で見てたのは見てたんですが、会社だったんで無音で見るという状態を強いられてしまっていたのですが、 記者の質問とかにあのすっきりと別人化した容姿をもって「ウンウン」とか頷いてるシーンとかがテレビで流れてるのを見ながら、 「きwこwえwてwるw」 という高等お笑いテクの衝撃は、あーこれマジで最近では珍しい「ゲスい故に最高のネタ」の投下されている瞬間じゃんねって笑いをかみ殺すのに必死でした。 ここからは個人的な意見ですが、僕がこの騒動での佐村河内氏の凄いと思ったところは、犯罪者である(とまではいかなくても、ある種の法的違反をとか、信頼や道徳という人間の叙情に訴えかける絶対性として語られるようなものを裏切った)氏が結果として「勝者」になったところです。 しかも、「図ら...

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これはどこから炙り出されたリアルか~最高の離婚2014を巡って

「これはどこから炙り出されたリアルか~最高の離婚2014を巡って」 今回はドラマ「最高の離婚2014」についてです。 知らない人もいると思うから、まずはドラマの説明を。 「最高の離婚」は、2013年1月10日から3月21日までフジテレビの木曜10時枠で放送された連続ドラマです。 坂元裕二が脚本書き下ろした、中目黒を舞台に2組のアラサー夫婦の「リアル」を描いたラブコメディです。連ドラの時からかなりの熱狂的なファンを獲得し、特に劇中の夫婦と同世代の団解ジュニアぐらいの視聴者から、夫婦が抱えるリアルな悩みや生き方に多くの共感が寄せられたと耳にすることしばしばでした。 普段テレビというかドラマをあまり見ない中目に住んでる僕の友達も、自分の住んでる街が舞台ってこともあってだろうけど(意外とこういう要素はドラマ見続ける上で重要)楽しくみれたみたいで、久しぶりに友達とドラマの話が出来て嬉しかったという印象が残ってます。 そんな「最高の離婚」が1か月ほど前に2時間半ドラマとして一夜限りの復活を果たしました。 設定はドラマの終了から1年、現実と同じ時間にのって、最終回の1年後の2組の夫婦の「それから」を...

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ブルータスの「ラジオ特集」第2弾

http://magazineworld.jp/brutus/brutus-773/ ホント数年ぶりに立ち読みせずに買いました。 生粋のドケチ精神から本当に買うべき雑誌なのか、読みたい記事の分量と、それを立ち読みで捌ける時間はもう身体に滲みついてきてるので、もうこの年ですし、定期刊行されてる雑誌の読んでおくべき書き手のものとか興味深い内容のコラムとかガッチガチに固まってるじゃないですか。 そうなるとそこだけサクッと読んで(と言いながら1週間前ぐらいに1時間以上立ち読みしてたけど)結局、雑誌買わなくなっちゃうんだよね。 ブルータスのラジオ特集第2弾! 僕はテレビ凄い見てるよねとよく言われますが、1日平均で考えると一番多く触れているメディアは恐らくラジオでないかと思います。 ここに長文書くときもだいたいラジオ聞きながら書いてます。 そんな僕のおすすめラジオも後でちょこちょこ紹介しようと思います。 開くと目次に「5年ぶりのラジオ特集」とあって、勿論その5年前のものもよく覚えていて、その時はラジオが特集されている事が嬉しいなと思ったと同時に、 「ラジオ=過去の媒体」ってのを払拭しようと「新しい...

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AKB48大組閣

大組閣が終わりました。 19時ぐらいから仕事そっちのけでツイッターのハッシュタグ「‪#‎大組閣‬」ひたすらに追っかけてたら、気づけば21時回ってて当番デスクと僕とAKBオタの先輩(20代女性、40代男性米国人)みたいになってました。結局ですね、分かち合う事でしか強くなれないんですよ、人は。 完全な罠だと知ってて乗っかります(あんまり突っ込んだ議論はしません)。 まずね、結論から言うと「少女たちは、傷つきながら夢を見てきた(現在完了)」ですよ。 今回、この組閣で秋元康は入れ物を変えるような大胆な改革を行わなかった。つまりアーキテクチャーをそのままにしたという事です。これは恐らくそれを自覚しての事でしょうし、それ故、今現在g⁺にも降りてこない、どこでどう仕事をしているのか姿を窺えない(かつてはガンガン下に降りてファンと絡んでた)秋元康という首長の求心力が目に見える形で危ぶまれたという事です。 常に「サプライズ」を売りにしてきたAKBが去年のペナントとかドラフト辺りで目に見えるように迷走し始めて、満を持した今回の大組閣も見た目は大きな変化で瞬間的に今はバズってるんだけど、これが果たして振り返...

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斜陽の先には、それでも無垢で

「斜陽の先には、それでも無垢で」 少し前になりますが、2月2日にナゴヤドームで開催されたSKE48のコンサートに行ってきました。 SKEにとって念願のナゴヤドーム(しかも2days)公演です。僕もここ2年半ずっとSKEを追いかけてきて、これがSKEにとって一つの重要な節目になったと、振り返るとそう思います。 興味深く読んでくれる人少ないだろうし、個人の主観的な意見の強要になりかねないから、冒頭に結論として出来る限りフラットな意見を書いておきます。 そうですね、結論から言うとですね「斜陽の先にはそれでも無垢で、360度の彼女たちは何を手放す」ですかね。 自分たちの立場を揺るがされた中で(具体的な事は後述、忘れて下さい)あそこまで追い込んだパフォーマンスを見せつけ、極限まで「今」に固執した、否する事でしか現状を打破する事が赦されなかったという哀しい因果の上に刹那的な物凄い強い物語が成立していたと思います。 感動させられっぱなし、ただそれだけです。 ここまでで、懲りずにアイドルの追っかけやってる人間がSKEのコンサートが良かったと言っているという認識を持って頂けたのであれば、ここからは読まな...

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ドラマ総括

さて、今クールも連ドラが出揃って、ひと段落しましたね。 前回も書こう書こうと思いながら忙しさに感けて結局最後まで書けずに終わってしまいました。 のでここで、後出しじゃんけん的に少しだけ振り返ります。 半沢とか、WOMANとか、僕が「世界の終わり全肯定時代に小人として生きるメソッド」というSUMMER NUDE論を書くにまで至らしめた小人ドラマの神髄SUMMER NUDEまで意外と話題の多かったクールの後だった前回は、「安堂ロイド」とか「リーガルハイ2」とか事前に話題になっていたというか、国民の関心がドラマに向っていた、ドラマを見ようと思っていた人が多かったチャンスの時だったと思います。 そんな前回ですが、視聴率どうこうとは別に僕が良かった(寧ろこれだけ見とけば大丈夫)と思ったものが、以下の三作品です。 「リーガル・ハイ2」 「クロコーチ」 「変身インタビュアーの憂鬱」 三者三様に良さがあってまとめて少ない分量で書いてしまうのは勿体ないくらいなんですが、1つのクールに外せないドラマが3本もあるというのは豊作と言ってもいいと思います。 実際、今クールはこの基準を当てはめると、魅力的だと思っ...

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芥川賞・直木賞予想

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。 最近寒いですね。毎日「今年一番の寒さ」って言葉聞いてる気がしますが、ずっと寒いのであんま変に煽らず、そっとみんなで耐えたいと思うものです。 さて、早速今年一発目の長文。 記念すべき第150回の芥川賞・直木賞の発表が明日の16日に迫っています。 そこで、今回も候補作を前読みしちゃって受賞作を予想しよう的なやつです。 もうここ5年ぐらいやってますが、受賞作が決まるのが半年に1回なのでまぁ毎回こんなひっそりとしてます。ただ、個人的にはここ4回全部受賞作当ててたりするので、読書の参考にでもしてもらえればうれしいなと思います。 ちなみに直木賞候補は今回も人気で借りれなかったので、いつものように大賞が決まった後にゆっくり読もうと思っていますゆえ、ここでは触れません。ご容赦ください。 早速、今回の候補作から。 いとうせいこう 「鼻に挟(はさ)み撃ち」(すばる12月号) 岩城けい  「さようなら、オレンジ」(太宰治賞2013) 小山田浩子  「穴」(新潮9月号) 松波太郎  「LIFE」(群像7月号) 山下澄人 「コルバトントリ」(文學界10月号) ...

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【2013年】総括

今年も気付けば後数時間となり、今年しておこうと思ったこともほぼ出来たし、後は紅白を見ながら年明けを待つばかりとなりましたが、Facebookに今年を振り返ろうというメッセージがずっと出続けているので、それに乗っかって2013年をまとめておこうと思います。 今年も嬉しいことにたくさんの物語に触れて、豊かな経験をたくさんすることが出来ました。例えばそれを、今年のコンテンツトップ10のような形で紹介するのもいいかなと思うのですが、敢えて今回はランキング等を付けずに、雑文のような形でさらっていこうと思います。 これが僕の思い出の2013年です。 それに伴ってまず断っておきたいのが、今年は「音楽」と「映画」というジャンルに深くコミットすることが出来ず、その分野の話が極めて薄くなってしまうということです。音楽は僕の友人の最高の2013音楽評をそのまま流用させていただこうと思います。莫大な音楽というジャンルの大海でセンシティブな取捨選択をしてくれる人なので信頼を持ってここに載せさせてもらいます。 http://nakamegurofishingclub.tumblr.com/ 併せて、2014年はも...

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イオンモール幕張新都心

オープンしたばかりの「イオンモール幕張新都心」が気になり過ぎてる。 こことそう離れていない「あの場所」が夢の国なら、このショッピングモールは未来の国ではなかろうか。 今や都市論のメインテーマとして取り扱われるショッピングモール。 少し脱線になるけど、今年の夏にお台場に行く機会があって、その時にしたツイートが残ってたので、以下より。 最近では豊洲でBBQってのが都会っ子の夏の嗜みの一つになっているらしく、その奇行を横目に今までは特に気に止めなかったゆりかもめの東京を越えパラレルワールドへ誘う感覚を体験した。特筆すべきは、台場の雰囲気。海を越えて辿り着くというのはまさに比喩ではなく、どこか生活圏を越えた異質なものが蔓延してる場所に降り立つことになる。似た例を挙げればディズニーリゾートだけど、あそこはディズニーのような正の感覚ではなく、寧ろ負の要素がほとんどだった。そこに聳え立つは、あの歪なつくり(球体だけではなく建物の細部においても非常に異質)のフジテレビ社屋。悪の要塞とまではいかないけど、凄くダークなイメージを放出してるように思える。その負のイメージは恐らく呼吸が困難になった現状のフジテ...

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映画『風立ちぬ』

昨日ようやく観てきました。風立ちぬ。 今回は変な事は言いません。だから、少し長いですけど最後まで読んで欲しいです。 あらすじを書く必要はないし、僕がここで色々と話をしなくても、あんなに日本中でヒットしてる事を考えれば、是非観て下さいという言葉も不要。 もちろん、共感を誘うような事も書きませんし、この作品に込められた普遍的なメッセージとかそんな陳腐な話なんて軽く超越する作品です。 では、僕は何を書けるか。 それは、この映画を観て僕が思った個人的な事のみです。僕はこの映画を観るにあたって、堀辰雄を再読したり江藤淳や大塚英志を読みました。でも、これはそれを踏まえてではなく、純粋に自分の感想を書かねばと思いました。書く必要はない、考えれば十分なのかもしれません。それがきちんと出来れば、この映画を観た価値があったと思えるのでしょう。 では、僕が何を書く事を選んだのか。 具体的な「作品のあらすじ」や、「感想」、「宮崎駿」という人間がこれまで作り上げて来たジブリというアニメーションに込めたメッセージ、もっと言えば、彼の長年にわたって抱える「イデオロギー」について、人が書いた物を紹介したいと思います。...

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芥川賞候補の個人的な選評

今季の芥川賞候補の個人的な選評です。 興味ない人しかいないと思いますが、無視して下さい。 総論からいくと、やはり直木賞の候補作が粒ぞろいな分、芥川賞は候補作の時点でやや引けを取ってるように感じざるを得ないです。 純文学の価値とは何かという事を考えたときに、考えさせる、結論を委ねる、とういう長所があると思います。選択される事の決して多くない純文学の逆襲、それを感じられる作品が自ずと魅力のあるものとして選ばれるのだろうと今回は特に感じています。 候補の5作品はいとうせいこう『想像ラジオ』を除き、全て怒らく原稿用紙100枚以内だったと思います。癖のある作品も多くなかったので5作品は3日ぐらいで読み終わってしまったのですが、最近の忙しさと、なぜか忙しい合間をぬって指原莉乃論を5000字ぐらい書いてしまうという馬鹿馬鹿しい事態に見舞われて、発表が明日に迫った今こうやって急ぎ足で書いています。 読んだ順に書いていきます。   1、戌井昭人『すっぽん心中』 三人称小説です。舞台は東京。あらすじは、主人公の田野という人が、追突事故を起こされ首に怪我を負って、運送の仕事が出来ずにリハビリをして...

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惜日のアリスとはあの子のことだって、今でも、そう思う。

坂上秋成『惜日のアリス』読み終わりました。 僕はこの本を、読むまでの期待感で言えば今年一番なんじゃないかという事を色々なところで言っていました。 ただ、読み終わった直後には、とっておきの感想が浮かんだり、これについてもっと自分なりの解釈を付けようなんていう気はあまり起こらず、でも、期待はずれに落胆したということもなく、終わったあとも長く物語の世界に居させてくれるんだなとぼんやり考えていました。 僕は小説の感想を書くにあたっては、よくプロットとかロジカルな構図を洗い出し、それが今に書かれた事にどの様な作用となるかという事を一番に考えます。 もっと簡単に言えば、構図や文体、主人公の心的描写や風景描写から感じる色彩や音量や 匂い。そんな部分に作家の特徴は顕著に現れるので、そこを端緒に自分が思ったことをくっつけていくようなやり方をしています。 もちろんこの作品も、特徴としてジェンダーについてだったり、各章の分量(物語の区切り方)だったり、会話の中の春樹のような文体だったり、読んでいればすんなりと感じれる異変というのを幾つか上げるのは容易だと思います。そしてそれを切り口に上手く流れを作って、物語...

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【2013年】AKB総選挙予想

AKB選挙が本日となりました。 CX系で6時半~11時というゴールデンぶち抜いて(中断N) 「アボガドじゃね~し!アボカドだし!」 という実に仕様もないことを日本中に発信する訳です。 如何にして多くの人を不快にさせるか。 無関心層の取り込みということで言えば、去年にも増して、様々な手法が取られています。 僕個人としては、行く気なかったんですが、速報を受けて、一般応募しましたが落ちました。 日産でライブやる初の女性アーティストが48G。7万人だからね。世の中も平和です。 会社の部署の有志30人ぐらいで、選抜までの順位の賭け事みたいなのをしている手前、真面目に順位を予想したので、載せます。 1位、大島優子 2位、渡辺麻友 3位、指原莉乃 4位、柏木由紀 5位、松井珠理奈 6位、篠田麻里子 7位、高橋みなみ 8位、松井玲奈 9位、小嶋陽菜 10位、板野友美 11位、宮澤佐江 12位、横山由依 13位、島崎遥香 14位、山本彩 15位、渡辺美優紀 16位、高城亜樹 去年は特に松井玲奈に入れ込んでいたので10位で玲奈が呼ばれて僕の選挙は終わりましたが、 今年は特にそんな事もなく最後まで楽しく見れ...

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「変わらないこと。ずっと仲間なこと。」(上)

4月13日、14日にSKE48の春コンが行われました。 今年で2回目の日本ガイシホールでのコンサート。 去年は外れてしまったのですが、今年はなんと13日に運良く参加出来ました。 今年のコンサートは去年のそれとは違う意味を持っていました。 今春でSKE48から10人のメンバーが卒業し、そのメンバーにとっての最後のコンサートが 今回のコンサートになります。 去年は珠理奈というSKEの看板娘が倒れて、珠理奈無しでコンサートをするという 非常に厳しい状況でのものでした。 そんな厳しい状況を救ったのは、直前に言われたピアノ演奏をやってのけた桑原みずきであり、 glory daysという難しい曲を2日で2ポジション完璧に踊った矢神久美でした。 僕はその時の強いSKEを今でもよく覚えています。 そんな桑原みずきも矢神久美も今回で卒業になります。 僕の中では今回のコンサートはこのメンバーたちによる 「変わらないこと。ずっと仲間なこと。」 がどう機能し、卒業する、そしてSKEに残るメンバーたちにとって忘れられない2日間に なって欲しいと心から願っておりました。 突然ですが、 僕はこのコンサートの1か月程...

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大江 健三郎『芽むしり仔撃ち』を読む。

この作品を読み始める前に大島渚の『太陽の墓場』という映画を見て、ひどく感動したのだが、よくできてるが故に、一昔前の作品(これは映画に限った事ではないが)に纏う現代との齟齬を強く感じた事があった。 しかし、この作品は戦時という背景で物語を構成しているにも関わらず、それが現代においても通じるものを数多く内包していると感じる事ができる。それは大江健三郎という類稀なき才能を有する書き手のなせる技であり、その部分に終始衝撃を受け続けた。 ここまで丁寧に日本語を操り、丹念な描写で村を描し、少年たちの小さな心に宿る感情を描し、その悲壮なまでの結末を描す事は容易な事ではない。それは読者の五感を揺さぶり、完全に物語の中に読者を溶け混ませる事となろう。 久しぶりに本の強い力を感じた作品であった。...

戌井 昭人『ぴんぞろ』を読む。

上半期の芥川賞候補作で唯一読んでいなかった作品なので、これが取ったらどうしようもないなと思っていたら、結局この回は受賞作無しに決着したので、自分的には何の責務も負ってないにも拘らず危難を逃れたつもりでいました。ただ、受賞作無しのなかでも本作は評価が高かったのでなんとなくその後も心残りで、単行本にもなっていた由縁、この前ふらっと図書館で借りてみました。 彼の本は今まで読んだ事がありませんでした。 出だしから言葉選びが丁寧で、舞台となる下町の浅草や場末の温泉郷の雰囲気をきちっと踏まえている文章が貫徹されていたので、作品の空気に馴染みやすく読み進めることができました。特に彼の文章が作り出す浅草の風景は田原町の駅を出たところから自分がそこを歩いているかのように音や匂いが伝わり、それが媚びる様でもなく妙に凝った違和感もなく、控え目ながらまさにそのままを味わっている雰囲気にさせてくれました。物語の展開としても余計な寄り道をせずスムーズに流れ結果として終いまで作品のつくる雰囲気を味わえるように出来ていたと思います。 とある劇作家がふとした事件に巻き込まれ、場末の温泉郷に住み込みでストリップの前座をや...

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今村 夏子『こちらあみ子』を読む。

小学校から中学の卒業までの「あみ子」というひとりの女の子について描かれた物語。 そのあまりに純心で無垢ゆえの「あみ子」の言動は、周りにいる両親や兄・クラスメイトを常に傷つけ、悲しみの底に落とし、挙句の果てに遠ざけてしまう結果になってしまうのです。それでもあみ子は構いません。 いつでも真っ直ぐに生きるあみ子の「こちらあみ子」という投げかけに、返答する声は果たしてあるのか。 デビュー作で太宰賞と三島賞をダブル受賞した異色の物語、必読です!...

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