惜日のアリスとはあの子のことだって、今でも、そう思う。

坂上秋成『惜日のアリス』読み終わりました。 僕はこの本を、読むまでの期待感で言えば今年一番なんじゃないかという事を色々なところで言っていました。 ただ、読み終わった直後には、とっておきの感想が浮かんだり、これについてもっと自分なりの解釈を付けようなんていう気はあまり起こらず、でも、期待はずれに落胆したということもなく、終わったあとも長く物語の世界に居させてくれるんだなとぼんやり考えていました。 僕は小説の感想を書くにあたっては、よくプロットとかロジカルな構図を洗い出し、それが今に書かれた事にどの様な作用となるかという事を一番に考えます。 もっと簡単に言えば、構図や文体、主人公の心的描写や風景描写から感じる色彩や音量や 匂い。そんな部分に作家の特徴は顕著に現れるので、そこを端緒に自分が思ったことをくっつけていくようなやり方をしています。 もちろんこの作品も、特徴としてジェンダーについてだったり、各章の分量(物語の区切り方)だったり、会話の中の春樹のような文体だったり、読んでいればすんなりと感じれる異変というのを幾つか上げるのは容易だと思います。そしてそれを切り口に上手く流れを作って、物語...

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【2013年】AKB総選挙予想

AKB選挙が本日となりました。 CX系で6時半~11時というゴールデンぶち抜いて(中断N) 「アボガドじゃね~し!アボカドだし!」 という実に仕様もないことを日本中に発信する訳です。 如何にして多くの人を不快にさせるか。 無関心層の取り込みということで言えば、去年にも増して、様々な手法が取られています。 僕個人としては、行く気なかったんですが、速報を受けて、一般応募しましたが落ちました。 日産でライブやる初の女性アーティストが48G。7万人だからね。世の中も平和です。 会社の部署の有志30人ぐらいで、選抜までの順位の賭け事みたいなのをしている手前、真面目に順位を予想したので、載せます。 1位、大島優子 2位、渡辺麻友 3位、指原莉乃 4位、柏木由紀 5位、松井珠理奈 6位、篠田麻里子 7位、高橋みなみ 8位、松井玲奈 9位、小嶋陽菜 10位、板野友美 11位、宮澤佐江 12位、横山由依 13位、島崎遥香 14位、山本彩 15位、渡辺美優紀 16位、高城亜樹 去年は特に松井玲奈に入れ込んでいたので10位で玲奈が呼ばれて僕の選挙は終わりましたが、 今年は特にそんな事もなく最後まで楽しく見れ...

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「変わらないこと。ずっと仲間なこと。」(上)

4月13日、14日にSKE48の春コンが行われました。 今年で2回目の日本ガイシホールでのコンサート。 去年は外れてしまったのですが、今年はなんと13日に運良く参加出来ました。 今年のコンサートは去年のそれとは違う意味を持っていました。 今春でSKE48から10人のメンバーが卒業し、そのメンバーにとっての最後のコンサートが 今回のコンサートになります。 去年は珠理奈というSKEの看板娘が倒れて、珠理奈無しでコンサートをするという 非常に厳しい状況でのものでした。 そんな厳しい状況を救ったのは、直前に言われたピアノ演奏をやってのけた桑原みずきであり、 glory daysという難しい曲を2日で2ポジション完璧に踊った矢神久美でした。 僕はその時の強いSKEを今でもよく覚えています。 そんな桑原みずきも矢神久美も今回で卒業になります。 僕の中では今回のコンサートはこのメンバーたちによる 「変わらないこと。ずっと仲間なこと。」 がどう機能し、卒業する、そしてSKEに残るメンバーたちにとって忘れられない2日間に なって欲しいと心から願っておりました。 突然ですが、 僕はこのコンサートの1か月程...

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大江 健三郎『芽むしり仔撃ち』を読む。

この作品を読み始める前に大島渚の『太陽の墓場』という映画を見て、ひどく感動したのだが、よくできてるが故に、一昔前の作品(これは映画に限った事ではないが)に纏う現代との齟齬を強く感じた事があった。 しかし、この作品は戦時という背景で物語を構成しているにも関わらず、それが現代においても通じるものを数多く内包していると感じる事ができる。それは大江健三郎という類稀なき才能を有する書き手のなせる技であり、その部分に終始衝撃を受け続けた。 ここまで丁寧に日本語を操り、丹念な描写で村を描し、少年たちの小さな心に宿る感情を描し、その悲壮なまでの結末を描す事は容易な事ではない。それは読者の五感を揺さぶり、完全に物語の中に読者を溶け混ませる事となろう。 久しぶりに本の強い力を感じた作品であった。...

戌井 昭人『ぴんぞろ』を読む。

上半期の芥川賞候補作で唯一読んでいなかった作品なので、これが取ったらどうしようもないなと思っていたら、結局この回は受賞作無しに決着したので、自分的には何の責務も負ってないにも拘らず危難を逃れたつもりでいました。ただ、受賞作無しのなかでも本作は評価が高かったのでなんとなくその後も心残りで、単行本にもなっていた由縁、この前ふらっと図書館で借りてみました。 彼の本は今まで読んだ事がありませんでした。 出だしから言葉選びが丁寧で、舞台となる下町の浅草や場末の温泉郷の雰囲気をきちっと踏まえている文章が貫徹されていたので、作品の空気に馴染みやすく読み進めることができました。特に彼の文章が作り出す浅草の風景は田原町の駅を出たところから自分がそこを歩いているかのように音や匂いが伝わり、それが媚びる様でもなく妙に凝った違和感もなく、控え目ながらまさにそのままを味わっている雰囲気にさせてくれました。物語の展開としても余計な寄り道をせずスムーズに流れ結果として終いまで作品のつくる雰囲気を味わえるように出来ていたと思います。 とある劇作家がふとした事件に巻き込まれ、場末の温泉郷に住み込みでストリップの前座をや...

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今村 夏子『こちらあみ子』を読む。

小学校から中学の卒業までの「あみ子」というひとりの女の子について描かれた物語。 そのあまりに純心で無垢ゆえの「あみ子」の言動は、周りにいる両親や兄・クラスメイトを常に傷つけ、悲しみの底に落とし、挙句の果てに遠ざけてしまう結果になってしまうのです。それでもあみ子は構いません。 いつでも真っ直ぐに生きるあみ子の「こちらあみ子」という投げかけに、返答する声は果たしてあるのか。 デビュー作で太宰賞と三島賞をダブル受賞した異色の物語、必読です!...

映画 「村上春樹『風の歌を聴け』」(1981年製作の映画)

村上春樹の処女作「風の歌を聴け」の実写化作品。 ストーリーとしては原作に沿って作られているけれど、部分的に映画オリジナルの場面も加えられている。 はっきり言って映画として前衛的で実験的な作風だから好き嫌いは大きく別れると思う。 原作に思い入れのある人は、配役、特にジェイと鼠に対して激しく不満を持つかもしれない。 けれど、それはかつて村上春樹と同窓生であった監督の、極めて現実的で、とてもリアルな描写なのだろう。 作品の完成度は決して低くない。 一見の価値ありというより、見返すと価値を再発見することが出来るタイプの良い作品だろう。 ちなみに小指のない女の子役の真行寺君枝は村上春樹の短編集「カンガルー日和」のタクシーに乗った吸血鬼で血の美味しそうな女優にその名をあげられていた一人である。...

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